「ザルフグラッサってどんな屋根?何が問題なの?」
「ザルフグラッサのメンテナンス方法を知りたい」
このような疑問はありませんか?
ザルフグラッサとは、ケイミュー株式会社(前クボタ)で販売されていた、ノンアスベスト屋根のことです。
破損しやすい素材のため、屋根塗装ではなく、重ね葺き工事や葺き替え工事でメンテナンスします。
本記事では、屋根塗装のプロがザルフグラッサに関する不安や悩みを解消します。
解説する具体的な内容は、以下のとおりです。
・ザルフグラッサとは?
・ザルフグラッサの問題点
・業者に依頼して屋根がザルフグラッサか見分ける方法
・ザルフグラッサによく見られる劣化症状
・ザルフグラッサの劣化が放置NGな理由
・ザルフグラッサの2つのメンテナンス方法
この記事を読めば、住宅のザルフグラッサを適切にメンテナンスできるようになるでしょう。
もくじ
ザルフグラッサとは?

ザルフグラッサとは、「ケイミュー株式会社(前クボタ)」から販売されていたノンアスベスト屋根のことです。
1997年〜2006年に製造・販売されていた「ザルフ」よりも、耐候性が高い仕様として誕生しました。
2001年〜2005年の間で販売され、現在は生産中止となっています。
アスベストを使用していないノンアスベスト仕様で、軽量かつ高耐候性を持つことが大きな特徴でした。
しかし、耐久性に関しては問題があり、8~10年程度で不具合が発生することがわかったのです。
劣化した場合、塗装によるメンテナンスができないため、屋根工事が必要です。
ザルフグラッサの問題点

ザルフグラッサは、一般的なスレート瓦と比べて耐久性が低い屋根材です。
主な問題点は以下のとおりです。
・早い段階で不具合が生じる
・塗装できない
以下で詳しく見てみましょう。
早い段階で不具合が生じる
ザルフグラッサは、約8~10年で不具合が出はじめます。
まず、ひびや欠けが発生し、最悪の場合、完全に割れてしまうこともあります。
さまざまな不具合が起きる原因は、材質がもろいためです。
ザルフグラッサは、耐久性が高いアスベストの代わりになる材質を見つけられないまま、製造・販売してしまいました。
そのため、一般的なスレート屋根よりも早く劣化してしまうのです。
塗装できない
一般的なスレート屋根は、軽度のひび割れや色あせが生じた場合、塗装によるメンテナンスが可能です。
しかし、ザルフグラッサは塗装ができません。
理由は、主に2つあります。
1つ目の理由は材質が脆く、塗装の耐用年数よりも早く屋根材自体が劣化してしまうからです。
2つ目の理由は、作業で人が屋根に上ると割れやすく、高圧洗浄でも負荷がかかってしまうからです。
業者に依頼して屋根がザルフグラッサか見分ける方法

屋根がザルフグラッサかどうかを見分ける方法があります。
ただし、今回紹介する方法は危険なため、必ず業者に依頼してください。
・刻印を確認してもらう
・下部の形状を確認してもらう
・デザインを確認してもらう
詳しい内容を見てみましょう。
刻印を確認してもらう
1つめは、屋根の刻印を確認してもらう方法です。
屋根材に製品名や製造番号が刻印されていることがあります。
下部の形状を確認してもらう
2つめは、屋根材下部の形状を確認してもらう方法です。
ザルフグラッサは屋根材1枚1枚の下部が、一直線ではなく凸凹とした形状になっています。
近くで見ないとわかりにくいかもしれませんが、プロが確認すれば判断できます。
デザインを確認してもらう
3つめはデザインを確認してもらう方法です。
ザルフグラッサの表面は、木目のような模様が施されています。
ザルフグラッサによく見られる劣化症状

前章の見分ける方法でも、屋根がザルフグラッサであるかがわかりますが、以下の劣化症状でも判断できます。
・ひび割れが起きている
・割れている
・欠けている
・下部が剥がれている
それぞれの劣化症状について説明します。
ひび割れが起きている
ザルフグラッサが劣化すると、まずひび割れが生じます。
ひびの入り方に規則性はなく、縦横無尽に入ります。
割れている
ひび割れが進行すると、割れてしまいます。
雨風によって、割れた屋根材が飛ばされることもあるので注意してください。
欠けている
割れた屋根材が落ちることで、欠けが生じます。
屋根材が地面に落ちて、劣化に気づき始めるケースが一般的です。
下部が剥がれている
「層状剥離」と呼ばれる、下部が剥がれた状態になります。
塗装できない屋根材の代表格「パミール」にも見られる現象ですが、ザルフグラッサも一部で見られます。
ザルフグラッサの劣化を放置するのはNG

屋根全体にわたって症状が出ていなくても、劣化している状態は放置しないようにしましょう。
たとえば、北側は日があまり当たらず劣化してなくても、日当たりの良い南側は紫外線によって劣化していることがあります。
太陽が当たる部分の劣化症状をそのままにしておくと、雨漏りが発生する恐れもあります。
ザルフグラッサの劣化を放置すると、主に以下のようなトラブルが起きやすいため注意してください。
・雨漏りが発生する
・割れた屋根材が落下する
・建物の耐久性が低下する
以下で詳しく見てみましょう。
雨漏りが発生する
ザルフグラッサの劣化をそのままにしておくと、雨漏りが発生しやすくなります。
屋根材が欠けると、下にある防水シートが露出し、そこから雨水が浸入しやすくなるためです。
割れた屋根材が落下する
劣化して破損したザルフグラッサをそのままにしておくと、台風や嵐などで強風が吹いた際は、屋根材が落下することもあります。
万が一、人や自動車に当たれば、事故やケガの原因となります。
建物の耐久性が低下する
ザルフグラッサの劣化を放っておくと、建物の耐久性が低下する恐れがあります。
破損した部分から雨漏りし、雨水が構造まで至れば、木造の場合は木が腐食してしまうことも考えられるからです。
つまり、屋根だけでなく、建物自体の耐久性が弱くなってしまいます。
【ザルフグラッサのメンテナンス方法1】重ね葺き工事

ザルフグラッサのメンテナンス方法の1つに、重ね葺き工事があります。
重ね葺き工事とは、既存の屋根材に新しい屋根を重ねる工法のことです。
以下の詳細を詳しく解説します。
・重ね葺き工事のメリット
・重ね葺き工事のデメリット
・重ね葺き工事の費用相場
1つずつ見てみましょう。
メリット
重ね葺き工事のメリットは、工事費用が安く済むことです。
既存の屋根を残したまま施工できるため、解体・処分費用が不要となり、工事費用を抑えられます。
また、工事期間が短いことも、費用が安くなる理由の1つです。
なお、既存の屋根を取り除く必要がないため、短期間で終わらせられるメリットもあります。
デメリット
重ね葺き工事のデメリットは、屋根材を重ねているため、重量が大きくなることです。
屋根が重くなると、建物全体に負荷がかかり、地震発生時の揺れ幅が大きくなります。
結果として耐震性が低下し、建物のヒビや破損につながる可能性があります。
また、下地の劣化症状が著しく、補修が必要な状態まで悪化している場合、重ね葺き工事の施工は不可能です。
費用相場
重ね葺き工事の費用相場は60万円~240万円です。
ただし、屋根の大きさによっても異なるため、あくまでも目安として参考にしてください。
【ザルフグラッサのメンテナンス方法2】葺き替え工事

ザルフグラッサのもう1つのメンテナンス方法に、葺き替え工事があります。
葺き替え工事とは、既存の屋根材を全て取り除き、新しい屋根材を設置する工法のことです。
以下の詳細を詳しく解説します。
・葺き替え工事のメリット
・葺き替え工事のデメリット
・葺き替え工事の費用相場
それぞれ1つずつ紹介します。
メリット
葺き替え工事の大きなメリットは、劣化状態に関係なく、施工できることです。
また、屋根の下地まで確認・補修できるため、隠れていた劣化や損傷を発見して修理できます。
なお、重ね葺きよりも重量が軽いため、耐震性が高くなり、家の寿命が長くなります。
デメリット
メリットの多い葺き替え工事ですが、デメリットもあります。
下地から取り替える必要があるため、費用が高くなることです。
同様の理由で、重ね葺き工事と比べて、工期が長くなります。
また、廃材が多く出るため、適切に処分しないと近隣トラブルにつながる恐れもあります。
たとえば、廃材が隣家の庭や駐車している車に落下したり飛散したりすると、近隣住民に迷惑をかけることになるのです。
そうならないためにも、工事の質の高さはもちろんのこと、廃材の撤去まで丁寧に行う、優良な施工業者を選ぶ必要があります。
費用相場
葺き替え工事の費用相場は、70万円~250万円です。
既存の屋根を撤去する必要があるため、重ね葺き工事よりも高くなる傾向にあります。
ザルフグラッサの劣化は放置せず早めにメンテナンスしよう

ザルフグラッサはアスベストが含まれておらず、健康面や環境に配慮された屋根材ですが、素材はもろい特徴があります。
軽量で耐候性が高い屋根材ですが、8~10年程度で不具合が発生しやすく、塗装によるメンテナンスができません。
特に、ひび割れや欠け、層状剥離など劣化した場合は屋根の工事が必要です。
屋根がザルフグラッサかどうかを判断するためには、専門業者に刻印や形状の確認を依頼しましょう。
劣化を放置すると雨漏りや建物全体の耐久性低下につながり、屋根の落下事故などにもつながります。
メンテナンス方法には、重ね葺き工事か葺き替え工事があります。
ザルフグラッサの劣化に気づいたら、決してそのままにせず、早めにメンテナンスを依頼しましょう。
「やまもとくん」では、ザルフグラッサの工事にも対応しています。
埼玉エリアで屋根工事をお考えの方は、お気軽にご相談ください。