「塗装できない屋根ってあるの?」
「塗装できない屋根の場合、補修はどうすればいいの?」
上記のように悩んでいる人は多いでしょう。
本記事では、塗装できない屋根の商品名や塗装NGな劣化症状、塗装以外で補修可能なメンテナンス方法を紹介します。
具体的には以下について解説していきます。
・ノンアスベスト屋根が塗装不可と言われる理由
・「塗装できない屋根材」に塗装すると起こり得るトラブル
・塗装できない10個の屋根材
・塗装NGな屋根の劣化症状
・塗装できない屋根材のメンテナンス方法
この記事を読めば塗装できない屋根の種類や劣化具合を把握できるため、誤って塗装して後悔することを防げるでしょう。
ぜひ最後まで目を通してください。
もくじ
塗装できない屋根材はあるの?

塗装できない屋根材はいくつかあります。
塗装できない原因としては、ノンアスベストのため耐久性が低い点が挙げられます。
ノンアスベストとは、石綿(いしわた)と呼ばれる天然の鉱石が含まれていないという意味です。
アスベストは肺がんをはじめとし、人体に悪影響を及ぼすことが分かっています。
そのため一時期、アスベストが含まれていない屋根材が製造および販売されていました。
しかしノンアスベストの屋根材は人体に悪影響がなくとも、耐久性が低いことが発覚します。
屋根を塗装する場合、屋根の上に人が上り作業しますが、ノンアスベストの屋根材は脆く
人の重みによって割れてしまうケースが多いのです。
よって、ノンアスベストの屋根材は「塗装できない」「塗装しない方が良い」と言われています。
「塗装できない屋根材」に塗装すると起こり得るトラブル

塗装できない屋根材、つまりノンアスベストの屋根材は、他の屋根材に比べるとかなり脆いです。
そのため塗装することで、以下のようなトラブルが起こり得る可能性があります。
・ひび割れが起きる
・雨漏りが発生する
1つずつ見ていきましょう。
ひび割れが起きる
塗装できない屋根材に塗装すると、ひび割れが起きる可能性があります。
1章でも説明しましたが、塗装する際に屋根の上に人が上ることによって、重みに耐えきれず、屋根材にひびが入りやすくなるのです。
そのため塗装してから数年経った後に、ひび割れが起きたり、屋根材の一部が欠落したりといったトラブルが起きやすいと言えます。
雨漏りが発生する
塗装できない屋根材に塗装すると、雨漏りも発生する可能性があります。
前述したとおり、塗装できない屋根材に塗装するとひび割れが起きやすく、隙間が大きい場合は雨水が入ってしまう恐れがあるのです。
雨漏りが発生すると、屋根材だけでなく建物の構造にまでダメージが及ぶ可能性もあるので注意してください。
塗装ができない屋根10選

ここからは具体的に塗装できないと言われている屋根材を10個紹介していきます。
・コロニアルNEO
・パミール
・アーバニー
・ザルフグラッサ
・レサス
・シルバス
・セキスイかわらU
・グリシェイドNEO
・セイバリーNEO
・エコ・シンプル
上記はすべて耐久性が低く、塗装できないもしくは、塗装しない方が良いと言われている屋根材です。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
コロニアルNEO

コロニアルNEOは2001年~2007年まで、クボタ株式会社(現ケイミュー株式会社)が製造および販売していたノンアスベストの屋根材です。
販売が停止されるまで多くの戸建て住宅の屋根として使用されていました。
屋根材の下部には凹凸があり、凹凸の切れ込み部分が真っすぐではなく斜めになっている点が特徴です。
ノンアスベストなため他のスレート屋根よりも耐久性が低く、早い段階で不具合が発生します。
不規則なひび割れが発生するほか、半分に割れ落ちたり、端部が反ってしまったりといった症状が見受けられます。
上記の症状は塗装では修復できず、塗装したとしても割れてしまう可能性が高いです。
パミール

パミールは1996年~2008年に、ニチハ株式会社が製造および販売していたノンアスベストの屋根材です。
ほかのスレート屋根材に比べると耐久性に欠け、約10年でボロボロになってしまうため、現在は製造が中止されています。
屋根材の下部に凹凸があり、凹と凸の間の長さが均等といった形状です。
早いと築5年過ぎたあたりから屋根材がミルフィーユのように剥離してしまうほか、屋根材がズレて落下してしまうなどの不具合が見受けられます。
たとえ塗装したとしても100%剥離するため、塗装はおすすめできません。
屋根材自体を交換するか、新しい屋根材を上から被せる工事が必要です。
アーバニー

アーバニーは1982年~2005年まで、クボタ株式会社(現ケイミュー株式会社)が製造・販売していたノンアスベストの屋根材です。
他のスレート屋根に比べてデザイン性に富んでおり、高級感のある外観を演出できる屋根材として人気がありました。
シリーズで販売されており、アーバニー、ニューアーバニー、アーバニーグラッサの3種類あります。
上記の内、ノンアスベストなのはニューアーバニー、アーバニーグラッサの2つですが、アーバニーシリーズはすべて塗装をおすすめしません。
スレート1枚1枚に切り込みが入っており、元々割れやすい形状となっているからです。
そのため作業員が屋根に上っただけでひび割れしやすいほか、高圧洗浄する際に割れてしまいやすいです。
ザルフグラッサ

ザルフグラッサは1997年~2006年まで、クボタ株式会社(現ケイミュー株式会社)が製造および販売していたノンアスベストの屋根材です。
屋根材の下部には凹凸があり、凹みの角が直角でハッキリとしている形状が特徴です。
ザルフグラッサは以前に製造・販売されていたザルフよりも、耐候性を強化した商品として販売されていました。
しかしここまで紹介してきた屋根材と同じくノンアスベストなため耐久性に劣り、約8年~10年で不具合が発生することが発覚します。
縦や横にひびが入り欠落する症状や、屋根材がミルフィーユ状に剥がれていく、層間剥離といった症状も発生しやすいです。
上記の症状は塗装では直せないほか、たとえ塗装したとしても割れてしまう可能性が高いので、おすすめしません。
レサス

レサスは 1996年~2006年に松下電工株式会社(現ケイミュー株式会社)が製造および販売していたノンアスベストの屋根材です。
前述のコロニアルNEOやパミールの次に不具合が発生しやすいとも言われています。
レサスはシリーズ名で、レサス・ウーノやレサス・トレスなど、当時はさまざまな種類が販売されていました。
商品名に「レサス」が含まれる屋根材は、すべて脆いため注意してください。
屋根材の下部が一直線ではなく、わずかに凹凸があり、屋根材1枚1枚に均等に縦線が入っている形状をしています。
端部が反ってしまうほか、斜めにひびが入り半円状に割れていくといった症状が多く見受けられます。
上記の症状は塗装しても修復できないだけでなく、塗装したとしても脆いため割れる可能性があります。
シルバス

シルバスは2001年~2003年にかけて、松下電工株式会社(現ケイミュー株式会社)が製造・販売していたノンアスベストの屋根材です。
前述のレサスの上位互換として発売されましたが、早い段階で不具合が多く報告され、わずか3年で製造・販売が終了しました。
レサスと同じくひび割れや反り、欠落などの不具合が発生するケースが多いです。
塗装したとしても数年で割れてしまったり、そもそも塗装前の高圧洗浄の水圧で割れてしまったりするため、塗装はおすすめできません。
セキスイかわらU

セキスイかわらUは1970年~2007年まで、セキスイルーフテック(現積水屋根システム株式会社)が製造・販売していたスレート屋根材です。
屋根材は厚みがあり、瓦のような形状をしているのが特徴です。
アスベストを含んでいたため1990年からは、商品名はそのままで、ノンアスベストの屋根材を製造・販売していました。
セメントで作られているので他の塗装できない屋根に比べると丈夫ですが、塗料の膜の剥がれやひび割れなどの不具合が発生するケースが多いです。
塗装では修復できないため、屋根材を取り替える必要があります。
グリシェイドNEO

グリシェイドNEOは2000年~2008年まで、クボタ松下電工外装株式会社(現ケイミュー株式会社)が製造・販売していたノンアスベストのスレート瓦屋根です。
複数の大手ハウスメーカーで採用され、当時の新築住宅の屋根に多く使われていました。
屋根材の下部は凹凸にはなっておらず、一直線に揃っている形状をしています。
またスレートとスレートの間に、1センチ程の隙間が均等に設けられている点も特徴です。
アスベストの代わりに使用された素材の耐久性が低く、とても脆いため塗装には不向きです。
早い段階でひび割れや抜け落ちが発生するほか、屋根材の角が反っていくといった不具合が多数報告されています。
塗装では修復できないため、屋根材自体の修理をする必要があります。
セイバリーNEO

セイバリーNEOは2001年~2008年まで、クボタ株式会社(現ケイミュー株式会社)が製造・販売していたノンアスベストの瓦屋根です。
1枚の屋根材に3つの凹凸がある、独特な形状をしています。
アスベストが含まれていないため、他のNEOシリーズと同様に割れやすく、塗装したとしても脆さは変わりません。
また斜めに亀裂が入った場合、そのまま割れるだけでなく落下するケースもあるので注意してください。
エコ・シンプル

エコ・シンプル(別名:エコ・ウーノ)は2003年~2011年までクボタ松下電工外装株式会社(現ケイミュー株式会社)が製造・販売していたノンアスベストのスレート屋根です。
屋根材の下部が直線や凹凸といった形状ではなく、緩やかな波のような形状をしています。
アスベストが含まれていないため割れやすく、縦にも横にもひびが入ってしまうのが特徴です。
そのまま割れてしまい、落下するケースもよくあるため注意してください。
塗装しても屋根材自体が脆いため、ひび割れを防ぐことはできません。
また塗装や点検のために作業員が屋根の上に乗った場合、人の重みで割れてしまうケースも多いです。
塗装できない屋根の劣化症状

前章で塗装できない屋根材の種類を紹介しましたが、他の屋根材でも劣化症状が進んでいる場合、塗装では補修できないケースもあるので注意してください。
以下は塗装では直せない劣化症状です。
・欠けている箇所がある
・反っている箇所がある
・下地や防水シートが傷んでいる
・雨漏りしている
以下で1つずつ説明していきます。
欠けている箇所がある
屋根に欠けている箇所がある場合は、塗装では補修できません。
屋根は経年劣化によって、ひび割れや欠けが生じることがあります。
放っておくと雨水などが入り込みやすくなるため、屋根材を交換するなどして補修する必要があります。
反っている箇所がある
屋根に反っている箇所がある場合も、塗装では補修できません。
屋根材は紫外線や気温差などで膨張と収縮を繰り返すため、反ってしまうことがあるのです。
塗装しても元の形状には戻らないため、屋根材自体を補修する必要があります。
下地や防水シートが傷んでいる
下地や防水シートが傷んでいる場合も、塗装では補修できません。
屋根材にひびが入ったり欠けたりすると、隙間から雨水などが屋根材の下にある下地や防水シートに浸透し、劣化が進んでしまうことがあります。
放っておくと建物の構造自体の耐久性が下がる可能性があるので注意してください。
屋根材を塗装しても意味がなく、下地や防水シート自体を交換もしくは補修する必要があります。
雨漏りしている
雨漏りしている場合も、塗装では補修できません。
屋根材が欠けていたり大きなひびが入っていたりすると、隙間から雨水が浸入して雨漏りが発生しやすいです。
塗装したところで雨漏りは解決しません。
建物の構造自体に雨漏りする前に、屋根材自体の補修が必要となります。
塗装できない屋根材をメンテナンスする方法

塗装できない屋根材をメンテナンスする方法としては、以下2つが挙げられます。
・葺き替え工事
・重ね葺き工事
それぞれ見ていきましょう。
葺き替え工事
塗装できない屋根材をメンテナンスする方法の1つ目は、葺き替え工事です。
葺き替え工事とは、古くなった屋根材を取り外し、新しい屋根材に交換する工事のことを言います。
屋根自体が新しくなるので、屋根の耐久性が上がるほか防水機能も向上します。
費用相場は70万円~250万円です。
重ね葺き工事(カバー工事)
塗装できない屋根材をメンテナンスする方法の2つ目は、重ね葺き工事です。
重ね葺き工事(カバー工事)は、現在の屋根材を撤去せずに、上から新しい屋根材を重ねて施工する工事のことを言います。
費用相場は60万円~240万円です。
古い屋根材を取り外したり処分したりしなくていいため、葺き替え工事よりは費用が抑えられる傾向にあります。
ただし、現在使っている屋根材の劣化が激しい場合は重ね葺き工事ができないケースもあるので注意してください。
自宅が塗装できない屋根材かは業者に確認してもらおう

塗装できない屋根材はいくつかあり、ほとんどがノンアスベストのため耐久性が低い点が原因です。
塗装する作業の中で人が屋根に上ったり、高圧洗浄で汚れを洗い流したりしますが、ノンアスベストの屋根材は人の重みや高い水圧で簡単にひび割れが発生します。
またノンアスベストの屋根材でなくとも、屋根材が欠けていたり反っていたり、劣化症状が激しい場合は、塗装では補修できないので注意してください。
ノンアスベストの屋根材や劣化症状の激しい屋根をメンテナンスする方法は、葺き替え工事と重ね葺き工事の2つがあります。
自宅の屋根が塗装しても大丈夫な屋根材か、自分で確認するのは難しいでしょう。
そのため業者に屋根の点検を依頼し、確認してもらうことをおすすめします。