多彩模様塗料は天然石のように美しく、高級感あふれる仕上がりにできる人気の塗料です。
しかし、メリットばかりでなくデメリットはないのか、気になる方もいるかもしれません。
本記事では、多彩模様塗料を用いた塗装のデメリットについて解説します。
多彩模様塗料を用いるデメリットは、以下の5点です。
・職人によって仕上がりが左右される
・作業時間が長くなりやすい
・費用が高くなりやすい
・立地によっては塗装ができない
・色の種類が少ない
立地や予算などの条件によっては、多彩模様塗料を使用するのが適していない場合もあります。
本記事を読めば、多彩模様塗料のデメリットを理解した上で、多彩模様塗料を選択するかを判断できます。
もくじ
【多彩模様塗料のデメリット①】職人によって仕上がりが左右される
多彩模様塗料は、職人の腕によって仕上がりに大きく差が出るのが特徴です。
美しく均一な模様を作るには高度な技術が必要であり、経験の少ない職人には困難です。
多彩模様塗料を用いた塗装は、スプレーガンかローラーを使用して行います。
スプレーガンで吹き付ける場合は、適切に扱わないとムラになり仕上がりが悪くなります。
また、模様全体のバランスを見ながら、必要に応じて手直しによる仕上げも必要です。
手直しは経験や技術を要する作業であり、職人によって差が出やすいです。
特に多彩模様塗料を使用する場合は、技術力の高い職人に依頼することが重要になります。
【多彩模様塗料のデメリット②】作業時間が長くなりやすい
多彩模様塗料は塗装回数が多くなるため、作業時間も長くなりやすい傾向にあります。
通常外壁塗装は3回塗りですが、多彩模様塗料は4回塗りとなるケースも多いです。
4回塗りの理由は、3回塗りでは色ムラが発生してしまい、美しい仕上がりにならないためです。
また、塗料は毎回十分に乾燥してから塗り重ねる必要があります。
塗装回数が増えると、乾燥にかかる時間も長くなります。
他の塗料よりも、多彩模様塗料は手間や時間がかかりやすいのもデメリットです。
【多彩模様塗料のデメリット③】費用が高くなりやすい
多彩模様塗料を使用すると、工事費用も高くなりやすい傾向にあります。
塗料自体の費用相場や、外壁塗装にかかる費用相場をくわしく解説します。
多彩模様塗料の費用相場
多彩模様塗料の費用相場は、5,000円〜10,000円/平方メートルです。
一般的に外壁塗装で用いられる塗料の、1平方メートルあたりにかかる相場は下記になります。
・シリコン塗料:1,800円~3,500円/平方メートル
・フッ素塗料:3,000円~5,000円/平方メートル
・無機塗料:3,500円~6,000円/平方メートル
多彩模様塗料を用いた外壁塗装は、他の塗料を選択した場合より費用が高くなりやすいです。
外壁塗装において、塗料の価格は工事費用に大きく影響を及ぼします。
多彩模様塗料を選ぶ際には、予算内に収まるかを費用相場で確認しておくと良いでしょう。
多彩模様塗料で40坪の住宅を外壁塗装した場合の費用相場
実際に40坪(外壁面積158.4平方メートル)の住宅に外壁塗装を行う場合、費用差がどのくらいあるのかを解説します。
今回は、シリコン塗料もしくは多彩模様塗料を使用した際の費用相場をご紹介します。
外壁塗装にかかる費用相場を計算する方法は、塗料の単価相場×住宅の広さです。
多彩模様塗料を使用すると、5,000円~10,000円/平方メートル×158.4平方メートルです。
かかる費用相場は、792,000円〜1,584,000円となります。
一方シリコン塗料の場合は、1,800〜3,500円/平方メートル×158.4平方メートルとなります。
かかる費用相場は、285,120円〜554,400円です。
住宅のデザインや立地条件などによっても変動はありますが、多彩模様塗料を用いると費用は高額になりやすいです。
【多彩模様塗料のデメリット④】立地によって塗装できないケースがある
住宅の立地によっては、多彩模様塗料による塗装ができないケースもあります。
近隣の建物と距離が近く、養生しても塗装時に飛散してしまうリスクが高い場合は、吹き付け工法での塗装はできません。
万が一塗料が周囲に飛散してしまった場合、トラブルに発展する恐れもあります。
ただし吹き付け工法での施工ができない住宅でも、ローラーで塗装可能な多彩模様塗料なら使用可能です。
また、塗料の飛散が少ないスプレーガンを使用することによって、吹き付け工法を行える場合もあります。
風が強い日を避けたり、飛散防止シートを設置したり注意点を守れば、たいていの住宅で多彩模様塗料は使用可能です。
【多彩模様塗料のデメリット⑤】色の種類が少ない
多彩模様塗料は、他の塗料よりカラーバリエーションが少なめです。
たとえばアステックペイントの「グラナートSP」という多彩模様塗料は、10色展開になります。
グラナートSPは落ち着いた色味で気品もあり、住宅に使いやすいのが特徴です。
しかし、さまざまな色から選びたい方にとっては、物足りなさを感じる可能性はあります。
多彩模様塗料は大理石のような重厚感を出しやすい一方で、選べる色が限られる点は要注意です。
多彩模様塗料はデメリットだけではなくメリットもある
多彩模様塗料を選択すると費用や作業時間がかかりやすく、職人の技術力も必要になります。
一方で、多彩模様塗料には、多くの人に選ばれるメリットがあるのも事実です。
具体的には、下記のメリットが挙げられます。
・高級感のある外観に仕上げられる
・耐久性が高い
・建物や環境に優しい
それぞれのメリットを、順に解説します。
高級感のある外観に仕上げられる
立体感や気品のある仕上がりにできるのが、多彩模様塗料を使用するメリットです。
単色塗料と異なり複数の色や質感が混ざっているため、高級感のある外観に仕上げられます。
本物の天然石に近い立体感が出るため、塗装面を触った時に本物と間違えるほどです。
また、多彩模様塗料なら、単色の塗料では困難な新築に近い柄や模様も実現できます。
他の家とは違ったデザインにしたい方や、グレードアップした仕上がりを希望される方におすすめの塗料です。
耐久性が高い
多彩模様塗料は耐久性が高く、長期間建物を保護できます。
高耐候性のシリコン樹脂を使用しており、塗装面が劣化しにくいためです。
耐候性とは、雨風や太陽光などの自然環境に耐える力を指します。
外壁は厳しい自然環境にさらされており、色あせやひび割れなどを起こしやすい箇所です。
高耐候性の塗料を使用すれば塗料の膜が劣化しにくく、保護機能を維持しやすくなります。
多彩模様塗料を使用すれば、保護機能や美観を維持しやすくなります。
建物や環境に優しい
多彩模様塗料は、建物や環境に優しいのも特徴です。
ほとんどが水性塗料であり、油性塗料と比較すると施工中の臭いは少なめです。
油性塗料はシンナーを含むため、施工中は刺激臭の発生が避けられません。
刺激臭による近隣への影響や、人やペットへの影響を気にされる方も多くいます。
一方で水性塗料は水と混ぜるため、臭いが少なめです。
臭いによる生活への影響が少なく済み、住宅や環境にも優しく安心して使用できます。
また、天然石を使用した塗装は重く、建物により負担をかけてしまいます。
多彩模様塗料を使用すれば、本物の天然石に近い質感をより軽量で実現可能です。
子どもやペットへの影響を気にされる方や、建物への負担を軽くしたい方にも、多彩模様塗料をおすすめします。
多彩模様塗料で塗装するかはメリットとデメリットを比較した上で判断しよう
多彩模様塗料は施工にかかる期間や費用がかかりやすく、選べる色も少なめというデメリットがあります。
立地によっては施工できないケースもあるため、事前に業者への確認が必須です。
また、多彩模様塗料を使用した塗装は、業者の技術力に左右されやすいデメリットもあります。
しかし多彩模様塗料はデメリットだけではなく、住宅や環境に優しく高耐久性といったメリットも多く存在します。
住宅の塗装に多彩模様塗料を使用するかは、メリットとデメリット双方を把握した上で判断してみてください。