「パミールってどんな屋根?」
「自宅の屋根がパミールか知りたい」
「パミールだった場合、メンテナンスしないとやばい?」
上記のように、パミール屋根について疑問を持っている人は多いでしょう。
この記事では、パミール屋根とはどんな屋根なのかやパミール屋根の見分け方、劣化症状などを紹介します。
具体的には以下の内容をお伝えします。
・パミール屋根の概要
・自宅の屋根がパミールか確認する方法
・パミール屋根を早めに補修すべき劣化症状
・パミール屋根の劣化を放置した場合に起こり得るトラブル
・パミール屋根が塗装不可な理由
・パミール屋根のメンテナンス方法
この記事を読めば自宅の屋根がパミール屋根であるのか見分けられるほか、パミール屋根の適切な補修方法も分かり安心できるでしょう。
ぜひ最後まで目を通してください。
もくじ
パミール屋根とは?
パミール屋根は、住宅用の建材メーカー「ニチハ」が、1996~2008年に製造および販売していたスレート屋根材の種類です。
ほかのスレート屋根材に比べ耐久性が低いことが発覚し、現在は製造が中止されています。
10年程度でボロボロになってしまいますが、現在もパミール屋根が使われている住宅は残っており、社会問題にもなっています。
原因としては、屋根材の耐久性に関して十分に検証されないまま、世に出てしまった点が考えられるでしょう。
大元のメーカーであるニチハは、パミール屋根に重大な欠陥があることを認めていません。
そのため屋根材がボロボロになったとしても、基本的に解決金などは出ないと考えていた方が良いでしょう。
自宅の屋根がパミールか判断する方法
自宅の屋根の劣化が激しくパミール屋根かも、と不安を感じている人もいるかもしれません。
本章では自宅の屋根がパミールであるか、判断する3つの方法を紹介します。
・図面や仕上げ表を確認する
・屋根材をずらして刻印を確認する
・屋根の先端を確認する
1つずつ見ていきましょう。
図面や仕上げ表を確認する
自宅の屋根がパミールか判断する方法の1つは、建物の図面や仕上げ表を確認する方法です。
建物が完成した際に図面や仕上げ表を受け取っているかと思います。
図面や仕上げ表にメーカー名(ニチハ)と製品名(パミール)と記載されていれば、残念ながらご自宅の屋根はパミールが使われています。
また屋根の種類である「スレート」しか記載がない場合も、パミールが使われている可能性はあるので、施工業者に確認してみてください。
屋根材をずらして刻印を確認する
自宅の屋根がパミールか判断する方法2つ目は、屋根材をずらして刻印を確認する方法です。
もしパミールが使われている場合、屋根材に「パミール」といった文字が刻印されています。
ただし自分で屋根に登って確認するのは大変危険なため、業者に依頼して確認してもらいましょう。
屋根の先端を確認する
自宅の屋根がパミールか判断する方法3つ目は、屋根の先端を確認する方法です。
パミール屋根の先端は他のスレート屋根と異なり、凸凹した形をしています。
また他のスレート屋根は先端の凸と凹の幅が不均等ですが、パミール先端の凸と凹の幅は均等になっています。
ただし刻印を確認する方法と同じく、自分で屋根に登って確認するのは危険なため、業者にお願いして見てもらいましょう。
パミール屋根をメンテナンスすべき劣化症状
前述した通り、パミール屋根は10年程度でボロボロになってしまいます。
以下のような劣化症状が見られる場合は、早急にメンテナンスが必要なので注意してください。
・小口が変色している
・屋根材が剥離している
・セメント基材が露出している
・屋根材がズレている
以下で1つずつ説明していきます。
小口が変色している
パミール屋根の小口が変色している場合も、メンテナンスが必要です。
小口とは、屋根材の切断面の部分を指します。
パミールは小口部分に雨水が溜まりやすいため、徐々に変色していきます。
放置すると屋根材が隔離してしまうため、早めの補修が必要です。
屋根材が剥離している
パミール屋根のメンテナンスが必要な劣化症状として、屋根材が剥離している点が挙げられます。
パミールはセメントの層が重なり合ってできています。
劣化が進むと、セメント層の間が徐々に離れていき、屋根の先端部分が剥がれてしまうのです。
層間剥離(そうかんはくり)やミルフィーユ現象とも言われています。
放置すると屋根の基材が露出してしまうため、早めにメンテナンスしましょう。
セメント基材が露出している
パミール屋根のセメント基材が露出している場合も、メンテナンスが必要です。
先ほど紹介した屋根材の剥離がさらに進むと、セメント基材が露出してしまいます。
露出部分をそのままにしておくと、雨水を吸い込みやすいほか、屋根材の破片が落下する恐れがあるので注意してください。
屋根材がズレている
パミール屋根のメンテナンスが必要な劣化症状として、屋根材がズレている点も挙げられます。
パミールは屋根材を固定している釘が腐食しやすく、最終的に錆びて痩せ細り、屋根材を固定する力がなくなります。
すると屋根材がズレやすくなり、落下しやすいほか、強風などで飛んでしまう可能性もあるでしょう。
自宅だけでなく近隣の建物に被害が出たり、人にぶつかったりする恐れがあるので、早急に補修する必要があります。
パミール屋根の劣化を放置した場合に起こり得るトラブル
前章でパミール屋根をメンテナンスすべき劣化症状を紹介しましたが、もしそのまま放置した場合、以下のようなトラブルが起きる可能性があります。
・建物自体の耐久性が低くなる
・事故が起きる
1つずつ見ていきましょう。
建物自体の耐久性が低くなる
パミール屋根の劣化を放置した場合、建物自体の耐久性が低くなる恐れがあるでしょう。
劣化が進んだ屋根材から建物の内部に雨水が浸入し、構造が腐食する可能性があるからです。
構造が腐食すれば建物自体の耐久性が低くなってしまいます。
紫外線や雨風の影響を受けやすくなるほか、地震や台風といった自然災害の被害も受けやすくなってしまいます。
事故が起きる
パミール屋根の劣化を放置した場合、事故も起こりやすくなるので注意してください。
劣化が進むと屋根材がズレたり、風で飛んでしまったりする恐れがあるからです。
パミール屋根ではありませんが、過去には強風で屋根が車道まで飛んでしまい、車が下敷きになったケースもあります。
また屋根材が人に直接あたれば、ケガでは済まない可能性もあります。
パミール屋根に塗装はできない
ここまで読み進めた人の中には、自宅のパミール屋根を早急にメンテナンスしなければ、と思っている人もいるでしょう。
屋根のメンテナンス方法はいくつかありますが、パミール屋根は塗装でのメンテナンスはできないため、注意しましょう。
屋根材自体が脆(もろ)く、塗装したところで劣化の進行は防げないからです。
塗装前の高圧洗浄作業も、屋根材にさらなるダメージを与えてしまう可能性が高いでしょう。
他のスレート屋根であれば塗装できますが、パミールは塗装しても意味がありません。
作業の内容によっては、さらに寿命を縮めてしまう恐れもあるので塗装しないでください。
【2種類】パミール屋根のメンテナンス方法
パミール屋根は塗装NGですが、以下2つのメンテナンス方法で補修可能です。
・葺き替え工事
・重ね葺き工事(カバー工法)
それぞれどんな工事なのかや費用について説明していきます。
葺き替え工事
葺き替え工事は、現在の屋根材を撤去して新しい屋根材に交換する工事のことを言います。
費用は70万円~250万円ほどです。
現在使っている屋根材を撤去および処分する必要があるため、重ね葺き工事に比べると費用がかかる傾向にあります。
重ね葺き工事(カバー工法)
重ね葺き工事は、現在使っている屋根材の上から新しい屋根材を重ねて設置する工事のことを言います。
カバー工法とも言われており、費用は60万円~240万円ほどです。
現在使っている屋根材を撤去および処分しなくていいため、葺き替え工事に比べると費用を抑えられるでしょう。
ただしパミールの劣化が進行しており、雨漏りしていたり下地が損傷していたりする場合、重ね葺き工事はできないので注意してください。
パミール屋根に劣化症状が見られる場合は早急にメンテナンスしよう
パミール屋根は他のスレート屋根に比べ耐久性が低く、10年程度でボロボロになってしまいます。
自宅の屋根がパミールかどうかを調べるには、業者に屋根材を確認してもらうか、図面や仕上げ表にパミールと記載されているかを確認してください。
もし自宅の屋根がパミールだった場合、屋根材の剥離やセメント基材の露出、屋根材のズレが見られる場合は、早急にメンテナンスしましょう。
そのまま放置すると、建物自体の耐久性が低くなるほか、屋根材の落下や飛来によって事故が起こりかねません。
塗装によるメンテナンスは意味がないため、葺き替え工事もしくは重ね葺き工事にて補修しましょう。