パミール屋根を補修する際に、カバー工法をすすめられるケースがあります。
しかしカバー工法はどのような工事かピンと来ず、本当に大丈夫なのか迷われる方も多いです。
本記事ではカバー工法が向いているケースや費用相場、作業工程などについて解説します。
具体的に解説するのは、下記の内容です。
・カバー工法が向いているケース
・カバー工法が向いていないケース
・カバー工法に向いている屋根材
・カバー工法で使わない方が良い屋根材
・カバー工法の工程
カバー工法は古い屋根材を残すため、工事費用や時間を抑えられるメリットがあります。
一方で住宅や屋根材の状況によっては向いていないケースもあるため、業者と相談して選択すると良いでしょう。
本記事を読めばカバー工法の特徴や注意点が理解でき、住宅の屋根に合ったメンテナンス方法を選択できるようになります。
もくじ
パミール屋根をカバー工法でメンテナンスするのが向いているケース

パミール屋根をメンテナンスする際に、カバー工法が向いているケースは下記のとおりです。
・工事費用を抑えたい場合
・工事期間を短くしたい場合
・断熱効果や遮音効果を高めたい場合
それぞれのケースについて、くわしく解説します。
工事費用を抑えたい場合
カバー工法は撤去作業や廃材の処分が必要ないため、工事費用を抑えたい場合に向いています。
古い屋根材を撤去する葺き替え工事と異なり、カバー工法では屋根材をそのまま残すためです。
具体的にカバー工法の費用相場は、60万円~240万円となります。
注意点としてカバー工法によるメンテナンスは、複数回行えません。
2重になっている屋根の上にさらに屋根材を重ねると、重すぎて建物に負担がかかりすぎるためです。
カバー工法を行った場合、次回以降のメンテナンスでは葺き替え工事となります。
工事期間を短くしたい場合
なるべく早く工事を完了させたい場合も、カバー工法をおすすめします。
古い屋根を撤去する作業が省略でき、葺き替え工事よりも短期間で済むためです。
工期が短くなると、工事に伴う生活への影響も少なくなります。
断熱効果や遮音効果を高めたい場合
カバー工法には、断熱効果や遮音効果を高められるメリットもあります。
カバー工法では、新しい屋根材と一緒に断熱材を設置する場合が多いです。
また屋根材が二重になるため、雨や風などの音も響きにくくなります。
音や寒さが気になる場合も、カバー工法によるメンテナンスをおすすめします。
パミール屋根のカバー工法が向いていないケース

逆にパミール屋根をカバー工法でメンテナンスしない方が良いケースは、下記のとおりです。
・雨漏りしている場合
・屋根材の劣化が激しい場合
・同じ住宅に長く住む場合
・耐震性を重要視している場合
それぞれのカバー工法に向いていない理由を、くわしく解説します。
雨漏りしている場合
住宅に雨漏りしている箇所がある場合は、カバー工法ではなく葺き替え工事の方が向いています。
現在雨漏りしている場合、下地や防水シートが劣化している恐れがあります。
上から新しい屋根材を重ねても雨漏りは解決せず、建物の構造に影響する可能性があるのです。
雨漏りしているパミール屋根の場合は、屋根材を撤去して交換する葺き替え工事が向いています。
屋根材の劣化が激しい場合
屋根材の劣化が激しい場合も、カバー工法はおすすめできません。
劣化が激しい屋根の上から新しい屋根材を重ねても、耐久性は確保できないためです。
現在は問題なくても、将来的に大規模な補修が必要となってしまう可能性もあります。
葺き替え工事で劣化した屋根材を撤去した方が、耐久性の確保には効果的です。
同じ住宅に長く住む場合
同じ住宅に長く住む場合は、カバー工法を選ぶとかえって割高になる可能性があります。
基本的にはカバー工法より、葺き替え工事の方が屋根は長持ちするためです。
カバー工法を選ぶとメンテナンス頻度が上がるため、費用や時間もかかりやすくなります。
長く住む住宅であれば、最初から葺き替え工事を勧められるケースもあります。
住宅の耐震性を重要視している場合
メンテナンスにおいて耐震性を重要視したい場合は、葺き替え工事がおすすめです。
カバー工法で工事すると屋根が二重になるため、屋根自体は重くなります。
結果として地震の際に建物への負荷を上げてしまい、耐震性を低下させる可能性があるためです。
耐震性を考慮すると、古い建物は葺き替え工事の方が適している場合もあります。
パミール屋根のカバー工法に向いている屋根材

カバー工法において、上から重ねる新しい屋根材選びは重要な要素です。
具体的には、下記の屋根材がカバー工法に適しています。
・ガルバリウム鋼板
・アスファルトシングル
・ジンカリウム鋼板
それぞれの屋根材について、くわしく解説します。
ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板(こうはん)とは、鉄板にアルミやシリコンなどでコーティングした、金属製の屋根材です。
金属製でありながらサビにくく、耐震性にも優れています。
軽量かつ耐用年数も長い特徴から、カバー工法にも適している屋根材です。
シンプルで洗練された仕上がりにできるため、デザイン性にこだわりたい方にもおすすめします。
アスファルトシングル
アスファルトシングルとは、アスファルトとガラス繊維を主成分とした屋根材です。
耐久性と防水性の高さや軽量なのが特徴であり、カバー工法にも良く用いられています。
比較的安価で施工でき、洋風でおしゃれな屋根にしやすいのもメリットです。
日本では比較的珍しい屋根材ですが、アメリカでは多くの住宅に用いられています。
ジンカリウム鋼板
ジンカリウム鋼板は、ガルバリウム鋼板と同じく金属製の屋根材です。
ガルバリウム鋼板との違いはメーカーや外観にあり、性能や素材はほぼ同じになります。
ジンカリウム鋼板の場合、屋根材表面を石粒でコーティングしている製品がほとんどです。
石粒でコーティングすることで、遮音性や断熱性を上げる効果があります。
ガルバリウム鋼板と同じく軽量であり、カバー工法にも向いています。
パミール屋根のカバー工法で使わない方が良い屋根材

下記の屋根材は、カバー工法に使用されないのが一般的です。
・粘土瓦
・コンクリート瓦
・天然スレート
各屋根材の特徴やカバー工法に使わない方が良い理由を、くわしく解説します。
粘土瓦
粘土瓦は粘土を焼き上げて作る屋根材で、日本瓦や和瓦などとも呼ばれます。
伝統的な屋根材で人気はありますが、カバー工法には不向きです。
粘土瓦は重く、カバー工法に使用すると建物に負担がかかってしまいます。
耐震性にも劣るため、カバー工法には使わないのをおすすめします。
コンクリート瓦
コンクリート瓦はモニエル瓦とも呼ばれ、コンクリートを成形して作られる屋根材です。
洋風でおしゃれな雰囲気にできるものの、重量の重さがカバー工法においてネックとなります。
粘土瓦と同じく耐震性にも劣るため、カバー工法には使用しない方が良いでしょう。
天然スレート
天然スレートとは、天然の石を加工して作られる屋根材です。
石でできているため重く、カバー工法にはおすすめできません。
希少性の高い屋根材で価格が高いのも、カバー工法に使用されない理由です。
カバー工法でパミール屋根をメンテナンスする際の工程

パミール屋根をカバー工法でメンテナンスする工程は、下記のとおりです。
1.棟板金や雪止めを取り外す
2.新しい防水シートを設置する
3.新しい屋根材を被せる
4.棟板金など金具を取り付ける
各工程について、くわしく解説します。
1.棟板金や雪止めを取り外す
上から屋根材を被せる前に、棟板金(むねばんきん)や雪止めを取り外します。
棟板金とは屋根の頂点に設置する、金属でできた屋根部材です。
雪止めは、屋根に積もった雪が落下するのを防ぐ目的で設置される屋根部材です。
2.新しい防水シートを設置する
古いパミール屋根の上に、新しい防水シートを設置します。
設置することで屋根材の下に雨水が浸入したり、結露したりするのを防ぎます。
防水シートを設置せず、そのまま新しい屋根材を被せる業者も存在するため要注意です。
3.新しい屋根材を被せる
防水シートを設置した上に、新しい屋根材を被せます。
施工方法は、使用する屋根材により異なります。
4.棟板金など金具を取り付ける
屋根材を被せ終わったら、金具を取り付けて工事完了です。
特に棟板金は強風や雨などの影響を受けやすいため、厳重に固定し浮きや飛散を防ぎます。
また、新しい屋根材に合った素材の棟板金を選ぶのも大切です。
カバー工法が向いているのか確認した上でパミール屋根のメンテナンスを行おう

カバー工法は、パミール屋根のメンテナンスに広く用いられている工法です。
カバー工法は費用や工期を抑えつつ、断熱効果と遮音効果を高められるメリットがあります。
ただし、屋根材や住宅の状況によっては、カバー工法に不向きなケースがあります。
パミール屋根をメンテナンスする方法は、住宅の屋根がカバー工法に向いているかどうか確認した上で選ぶと良いでしょう。
もし自分で判断できない場合は、業者に相談するのをおすすめします。