パミール屋根とは、屋根材大手メーカーのニチハによって製造・販売されたスレート屋根です。
重大な耐久性の問題が発覚したため、現在では販売中止になっています。
お住まいの屋根がパミール屋根ではないか、不安に思われる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、パミール屋根の見分け方や対処法について解説します。
具体的に解説するのは、下記の内容です。
・自力で行うパミール屋根の見分け方
・業者によるパミール屋根の見分け方
・劣化症状による見分け方
・パミール屋根と判明した場合の流れ
パミール屋根はすでに劣化しているケースが多いため、なるべく早期にメンテナンスするのをおすすめします。
本記事を読めばパミール屋根の見分け方が理解でき、適切な方法でメンテナンスを依頼できます。
もくじ
【3STEP】パミール屋根の見分け方

パミール屋根かを見分けるためには、以下の手順に沿って行動してみてください。
1.住宅がいつ建設されたか確認する
2.建物の仕上げ表や仕様書を確認する
3.業者に確認してもらう
以下でくわしく解説します。
STEP1:住宅がいつ建設されたか確認する
パミール屋根が製造・販売されていた時期に、建てられた住宅ではないかチェックします。
パミールが製造・販売されていたのは1996~2008年です。
住宅を建てた時期が上記期間と重なっていなければ、パミール屋根は使用されていません。
もし1996~2008年の間に建てられた住宅であれば、屋根材の確認が必要です。
STEP2:建物の仕上げ表や仕様書を確認する
パミール屋根を使用しているかは、建物の仕上げ表や仕様書で確認できます。
仕上げ表や仕様書には、下記の項目が記載されています。
・屋根材の商品名
・メーカー名
・不燃番号(不燃材の認定番号)
不燃番号とは、国土交通大臣から認定を受けた防火材料に発行される番号です。
建築性能基準推進協会の「大臣認定の検索システム」で不燃番号を入力して検索すると、商品名を特定できるケースがあります。
STEP3:業者に確認してもらう
仕上げ表や仕様書が見当たらないもしくは、不燃番号で特定できなかった場合は、業者に確認を依頼してください。
塗装業者やリフォーム業者であれば、実際に屋根を見て確認ができます。
屋根は高所で危険なため、絶対に自分で確認しないようにしてください。
書類や不燃番号の検索で確認できない場合は、業者に依頼すると確実です。
業者によるパミール屋根の見分け方

業者は、下記を確認することでパミール屋根を見分けています。
・刻印
・先端部分
・表面のデザイン
具体的な方法について解説しますので、参考になれば幸いです。
刻印を確認する
実際に屋根に上がり、屋根材に製品名や製造番号が刻印されているかを確認します。
パミール屋根の場合は「パミール」と刻印されていたり、製造番号が刻印されていたりするのが特徴です。
製造番号があれば国土交通省や日本石綿協会、ロックウール工業会の公式サイトで、製品名を確認できます。
製品名や製造番号が刻印されていれば、パミール屋根かを確実に見分けられます。
先端部分を確認する
先端部分がパミール屋根の特徴と一致するかも、見分けるポイントです。
パミール屋根は、屋根材の先端の凸と凹の間が均等です。
他のスレート屋根であれば、屋根材の先端の凸と凹の間は不均等になっています。
先端部分の特徴を確認するのは、パミール屋根を見分けるのに有効です。
表面のデザインを確認する
屋根材表面のデザインでも、パミール屋根かを見分けることが可能です。
パミール屋根は縦に線が入っており、木目風のデザインとなっています。
似たデザインのスレート屋根も存在しますが、知識のある業者であれば見分けられます。
劣化症状によるパミール屋根の見分け方

現在使用されているパミール屋根は、すでに劣化症状が起きている場合も多く、劣化の種類によってパミールか見分けられることもあります。
パミール屋根に多く報告されている劣化症状は、下記のとおりです。
・層間剥離
・小口の変色
・表面の穴
・屋根材のズレ
それぞれの劣化症状について、くわしく解説します。
層間剥離が起きている
パミール屋根の代表的な劣化症状が、層間剥離です。
層間剥離とは、パミールのセメント層がミルフィーユのように剥がれる症状を指します。
屋根材の先端や横から剥がれたり、めくれたりするケースが多いのも特徴です。
層間剥離を起こしているパミール屋根は、上から塗装しても剥がれてしまいます。
小口が変色している
パミール屋根の場合、劣化によって小口が変色するケースもあります。
小口とは、屋根材の切り口や切断面です。
変色が進行すると、屋根材の欠けや剥がれに発展します。
表面に穴があいている
クレーターのような穴が、屋根表面に見られる場合もあります。
層間剥離の進行に伴い、セメント基材が露出してしまうためです。
すでに劣化が進んでいるため、放置すると屋根材の落下を起こしてしまいます。
屋根材がズレている
釘の腐食により、屋根材がズレやすいのも問題点です。
パミール専用の固定釘にはメッキ処理が不十分なものも含まれており、サビや腐食を起こしやすいです。
サビや腐食を起こした釘は屋根材を固定する力が弱くなるため、やがてズレたり落下したりします。
パミール屋根と判明した場合の流れ

パミール屋根と判明した時点で劣化が進行しているケースも多いです。
屋根や建物の寿命を延ばすには、工事で耐久性を高める必要があります。
パミール屋根と判明した場合は、下記の流れで工事を行います。
1.業者を探す
2.工事内容を相談する
3.工事を開始する
4.費用を支払う
工事内容や費用相場も説明しますので、参考にしてください。
1.業者を探す
パミール屋根だと判明したら、工事に対応できる業者を探します。
安心して工事を任せるには、ノンアスベスト屋根にくわしい業者を選ぶと良いでしょう。
パミール屋根がアスベストを含まない屋根なためです。
2.工事内容を相談する
パミール屋根の場合は塗装工事ではなく、重ね葺き(カバー工法)か葺き替えを行います。
塗装工事を行わない理由は剥がれてしまうことと、屋根材が脆く作業中に屋根材が割れたり欠けたりしやすいためです。
重ね葺き(カバー工法)とは既存の屋根を残し、上から新しい屋根材を重ねる工法になります。
一方で葺き替えは既存の屋根を除去した後に、新しい屋根材に交換する工法です。
工事内容は屋根材の状態や予算などを考慮しながら、業者と相談して選択します。
3.工事を開始する
工事内容や期間が決まったら、契約後に工事を開始します。
工程によっては生活に影響が出る場合もあるため、適宜業者に確認してください。
4.費用を支払う
工事にかかる費用相場は、下記のとおりです。
・重ね葺きの場合:60万円~240万円
・葺き替えの場合:70万円~250万円
施工後に仕上がりを確認し、問題なければ費用を支払ったら終了になります。
パミール屋根か確実に見分けるには業者に依頼するのが1番

パミール屋根かを確実に見分けるには、業者に依頼するのが確実な方法です。
ただ見分けるだけではなく、パミール屋根だと判明した後の対応もしやすくなります。
業者に依頼するのがおすすめな理由を、くわしく解説します。
プロの知識で確実に見分けられる
本記事で説明してきたパミール屋根の見分け方は、屋根を扱うリフォーム業者や塗装業者であれば熟知している内容です。
パミール屋根にしか見られない劣化症状や、他の屋根との違いなども把握しています。
特に小口の変色は、素人では花粉や汚れなどと見分けが付かない場合も多いです。
自力で見分けるより、プロに任せた方が確実に見分けられるため安心できます。
今後のメンテナンス方法を相談できる
業者に依頼すれば、必要な工事を相談できるのもメリットです。
パミール屋根と判明した場合、ほとんどのケースでメンテナンスが必要になります。
劣化を放置すると屋根材が落下したり、建物の耐久性に影響を及ぼしたりするためです。
今後のメンテナンスを考慮すると、見分ける段階から業者に任せた方が効率的かつ時短にもなります。
住宅の屋根がパミールか気になる場合はプロの業者に確認してもらおう

パミール屋根は耐久性に問題があり、層間剥離や釘の腐食などさまざまな劣化症状をきたします。
放置すると住み続けるのに支障をきたすため、パミール屋根であるかを確実に見分けることが重要です。
パミール屋根は塗装ができないため、重ね葺き(カバー工法)か葺き替え工事でメンテナンスすることになります。
お住まいがパミール屋根ではないか気になる際は、業者に確認してもらってメンテナンス方法を相談すると良いでしょう。