「波型スレート屋根のカバー工法のメリットやデメリットって何?」
「波型スレート屋根をカバー工法で補修する費用を知りたい」
上記のような疑問はありませんか?
本記事では、波型スレート屋根をカバー工法で修理する際の疑問にお答えします。
解説する具体的な内容は以下のとおりです。
・波型スレート屋根をカバー工法で修理するメリット
・波型スレート屋根をカバー工法で修理するデメリット
・波型スレート屋根のカバー工法にかかる費用相場
・波型スレート屋根を修理した方がよい劣化症状
・波型スレート屋根のカバー工法が難しいケース
・波型スレート屋根をカバー工法で修理する流れ
波型スレート屋根のカバー工法について理解を深めることで、適切な修理方法を選べるようになります。
ぜひ最後までご覧ください。
もくじ
波型スレート屋根をカバー工法で修理するメリット

波型スレート屋根は、カバー工法での修理が向いています。
具体的には、以下のようなメリットがあります。
・費用を抑えられる
・工事中も稼働できる
具体的な内容を見てみましょう。
費用を抑えられる
カバー工法による波型スレート屋根の修理は、葺き替え工事と比べて費用を抑えられます。
葺き替え工事は、古い屋根材を取り外し、新しい屋根を取り付ける工法です。
一方、カバー工法は、現在使用している屋根の上に新しい屋根材を覆い被せる工法です。
そのため、廃材撤去費用や処分費用がかかりません。
2004年以前の波型スレート屋根にはアスベストが入っているので、葺き替え工事の場合は屋根材撤去費・処分費のほかに、アスベスト撤去費・処分費などがかかるケースもあります。
工事中も稼働できる
カバー工法なら、たとえ工事中でも工場や倉庫、商業施設などの建物の内部は稼働できるメリットがあります。
屋根材を撤去する葺き替え工事では、作業中に廃材が落ちる可能性があり、基本的に建物の中に人は入れません。
一方、カバー工法は屋根を外す必要がなく、工事中の屋内に人がいても大きな影響はないため、問題なく稼働できるのです。
波型スレート屋根をカバー工法で修理するデメリット

波型スレート屋根をカバー工法で修理すると、耐震性に影響が出る恐れがあります。
カバー工法は、屋根が二重になるため、屋根全体の重量が増加してしまうのです。
屋根が重くなると建物の重心は上がり、地震時の揺れが大きくなります。
そのため、地震時に倒壊リスクが増す原因となります。
波型スレート屋根のカバー工法にかかる費用相場

波型スレート屋根のカバー工法にかかる費用相場は、5,000円~2万円/平方メートルです。
廃材を撤去する必要がなく、一般的に、葺き替え工事と比べて安価です。
工事費用は、屋根の面積によって大きく変動します。
屋根が広いほど、費用は高くなります。
波型スレート屋根を修理した方がよい劣化症状

波型スレート屋根の寿命は25~40年です。
しかし、以下で紹介する劣化症状が見られる場合は、年数にかかわらず、早めの修理をおすすめします。
・ボルトが錆びている
・浮いている
・割れている
・穴があいている
症状の具体的な内容について紹介します。
ボルトが錆びている
波型スレート屋根を固定しているボルトが錆びている場合は、修理を検討しましょう。
ボルトが錆びると屋根が落下し、破損する可能性があります。
安全性の低下だけでなく、雨漏りが発生しやすくなるリスクも生じます。
浮いている
屋根が浮いている場合も、修理が必要な段階です。
波型スレート屋根が浮く理由は、雨の湿気と晴れの乾燥を繰り返すことで、反りが発生するためです。
屋根が浮くと、雨水が入り込みやすくなり、腐食やカビの発生といった二次被害につながりやすくなります。
割れている
波型スレート屋根の表面が割れている場合は、早めの修理が必要です。
割れた部分が広がると、屋根全体の破損につながります。
さらに破損が進行すると、屋根の構造そのものにダメージを与える可能性があります
穴があいている
波型スレート屋根の穴があいている場合は、早急に修理しましょう。
穴があると雨水が屋根材の下に浸透し、屋根構造材や木造部材にダメージを与える可能性があるからです。
穴が広がると、漏水がさらにひどくなり、内装や電気設備にも影響を及ぼすことがあります。
波型スレート屋根のカバー工法が難しいケース

周囲の環境によっては、カバー工法による波型スレート屋根の修理が難しい場合もあります。
具体的なケースは、以下のとおりです。
・敷地が狭い
・電圧が足りない
・電線や建物が邪魔になる
詳しい内容を以下で見てみましょう。
敷地が狭い
敷地が狭い場合は、波型スレート屋根のカバー工法が難しいと言えます。
屋根材はクレーン車を使って持ち上げるため、車を入れるスペースが必要となるからです。
工事前には、クレーン車や折板屋根(せっぱんやね)を加工する機械などを置けるかどうかを、確認しましょう。
なお、折板屋根とは、金属の板を波状に折り曲げた屋根材の総称を指します。
電圧が足りない
電圧が不足していると、波型スレート屋根はカバー工法で修理できない場合があります。
一般的に、カバー工法で使う折板屋根は仕上がった状態で現場に運ばれます。
しかし大型の屋根の場合、運搬が困難となるため、現場で折板屋根を作らなければなりません。
折板屋根の制作作業には、金属の加工機材を使用できるほどの電源供給が、必要となります。
電線や建物が邪魔になる
電線や建物が邪魔になっている場合、波型スレート屋根のカバー工法による修理は難しいでしょう。
妨げになるものがあるとクレーンで持ち上げた屋根材がひっかかってしまい、作業を進められなくなるからです。
周囲の環境や障害物を事前に確認し、状況に応じた施工計画を立てる必要があります。
波型スレート屋根をカバー工法で修理する流れ

ここでは、波型スレート屋根をカバー工法で修理する流れを紹介します。
具体的な手順は以下のとおりです。
1.事前調査する
2.ボルトを切断する
3.下地材を取り付ける
4.屋根材を持ち上げる
5.折板屋根を設置する
6.付帯部を取り付ける
作業について、1つずつ紹介します。
1.事前調査する
最初に、事前調査をします。
波型スレート屋根の劣化具合や、周囲の環境を業者がチェックします。
なお、波型スレート屋根は、素人が昇ると踏み抜いて落下する恐れがあるため、絶対に昇らないでください。
2.ボルトを切断する
次に、ボルトを切断します。
古い波型スレート屋根を固定しているボルトの突起部分を、切り落とす作業です。
ボルトを平らにしてから、新しい屋根材を取り付けていきます。
3.下地材を取り付ける
ボルトを切断したら、下地材の取り付けです。
折板屋根と建物の梁(はり)を繋ぐ「タイトフレーム」という金具を設置します。
すべてしっかりと固定されているかどうか、丁寧に確認します。
4.屋根材を持ち上げる
下地材を取り付けたら、屋根材を持ち上げます。
人間の手で持ち上げられる大きさや重さではないため、クレーンを使うことが一般的です。
そのため、建物の周囲には、大きな重機を入れるスペースが必要となります。
5.折板屋根を設置する
屋根材を持ち上げたら、設置作業の開始です。
まず、屋根の一番高いところにある棟(むね)は、設置の際に取り外しておきます。
次に、軒先から折板屋根を順に並べ、ボルトで固定します。
6.付帯部を取り付ける
最後に付帯部の取り付けです。
付帯部には、屋根の端につける「ケラバ板金」や、屋根のもっとも高い部分の棟を覆う「棟板金(むねばんきん)」などがあります。
他にも、屋根に降った雨水を集めて適切な場所に排水する「雨樋(あまどい)」や、構造材の継ぎ目や隙間を防ぐ「面戸(めんど)」などもあります。
波型スレート屋根の劣化を見つけたら早めにカバー工法で修理しよう

波型スレート屋根修理のカバー工法は、安価で工事中に稼働できるメリットがあり、一方で耐震性が下がるデメリットもあります。
工事費用の目安は、5,000円~2万円/平方メートルです。
ボルトのサビや浮き、割れや穴がある場合は、早めの修理がおすすめです。
また、敷地は狭く電圧が足りない場合や、電線や建物が邪魔になる立地はカバー方法での対応は難しくなります。
修理では、事前調査の後にボルトを切断し、下地材・屋根材・付帯部の順に取り付けていきます。
波型スレート屋根の劣化を発見したら、早めにカバー工法で修理しましょう。