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瓦は日本の伝統的な屋根材であり、現在でも広く一般的に用いられています。
一方で瓦屋根を修理するタイミングや、かかる費用については意外に知らない方が多いです。
本記事では瓦屋根を修理すべきタイミングや劣化症状、費用相場などを解説します。
具体的に解説するのは、下記の内容です。

・瓦屋根の修理をおすすめする時期
・瓦屋根の修理が必要な劣化症状
・劣化症状別の修理方法
・修理にかかる費用相場
・修理しないと起こり得るトラブル

瓦屋根は経年劣化でズレや雨漏りを起こしやすくなるため、定期的に点検と修理を行うのが大切です。
本記事を読めば瓦屋根を修理する方法が理解でき、適切なタイミングで点検や修理を業者に依頼できます。

瓦屋根を修理した方が良いタイミング

瓦屋根は種類によって耐用年数が異なりますが、20〜30年に1度は点検し、必要があれば修理した方がよいでしょう。
本章では、具体的に修理した方が良いタイミングを2つに分けて解説します。

20年目

瓦屋根は設置して約20年経過すると、瓦が少しずつズレ始めてきます。
ズレ以外にも、ひび割れや欠けなどのトラブルが発生しやすくなる時期です。
特に気になる症状はなくても、大きな問題がないか一度業者に点検してもらうのをおすすめします。

30年目

30年経過すると、瓦屋根の下にある防水シートや野地板も劣化し始めることが多いです。
野地板とは瓦屋根の下に設置する部材で、固定や防水効果があります。
雨漏りを起こすリスクが高くなっているため、全体的な修理を検討すると良いでしょう。

瓦屋根の修理が必要な劣化症状

下記で紹介する劣化症状がある場合は、前章でご紹介したタイミングを待たずに修理するのをおすすめします。

・色あせが目立つ
・瓦が割れている
・瓦がズレている
・漆喰が剥がれている
・棟がズレている
・棟が破損している
・防水シートが傷んでいる
・野地板が傷んでいる
・釘が浮いている など

棟とは、屋根同士が頂点で交差して山型になった箇所です。
雨漏りを防止したり、独特な外観を作り出したりする効果があります。
また、自分で点検すると転落の危険があるため、必ず業者に依頼してください。
業者に依頼すれば、判断が難しい野地板や防水シートなどの下地部分も確認してもらえます。

【ケース別】瓦屋根の修理方法

瓦屋根の修理方法は、劣化症状に合わせて選択されます。
今回紹介するのは、下記のケースにおける修理方法です。

・瓦の割れやズレ
・漆喰の剥がれ
・棟の劣化
・防水シートの傷み
・野地板の傷み
・釘の浮き

それぞれの修理方法について、くわしく解説します。

瓦の割れやズレが確認できる場合

瓦の割れやズレに対しては、部分的な差し替えや固定による修理がおすすめです。
部分的な差し替えとは、割れた箇所のみを撤去した後に、新しい瓦を設置する方法です。
差し替え時に設置した瓦は釘を打たず、接着剤で固定します。
ズレに関しては、元の位置に戻した後に接着して固定する方法が効果的です。
また、広範囲にズレを認める場合、桟木(さんぎ)の交換も必要になる場合があります。
桟木とは、瓦屋根を固定する目的で設置される細長い木材です。

漆喰が剥がれている場合

漆喰とは、消石灰を主原料とする白色の防水材です。
棟の中心にある葺き土を、雨風から保護する目的で用いられます。
漆喰の剥がれは重ね塗りではなく、塗り直しによる対処が必要です。
重ね塗りをしない理由は、雨漏りの原因になるためです。
漆喰が剥がれている場合は、古い漆喰を取り除いた後に塗り直しを行います。

棟が劣化している場合

ズレや破損などで棟が劣化している場合は、程度によって修理方法は異なります。
ズレが軽度であれば、もとの位置に戻して接着剤で固定すれば修理完了です。
大きなズレや破損している場合は、棟部の葺き直しが必要になります。
葺き直しとは、既存の棟を再利用して張り直す方法です。

防水シートが傷んでいる場合

防水シートの傷みが部分的であれば、重ね張りにて補修します。
全体的に劣化していれば、葺き替えまたは葺き直しによる補修が必要です。
葺き替えとは既存の瓦や桟木、防水シートを取り除き、新しく交換する工法です。
一方で葺き直しは桟木、防水シートを新しく交換した後に、既存の瓦を再設置します。
工法ごとにメリット・デメリットやかかる費用が異なるため、業者と相談して決めると良いでしょう。

野地板が傷んでいる場合

野地板が傷んでいる場合は、増し張りまたは張り替えで補修します。
増し張りは古い野地板の上から、新しく重ね張りする工法です。
張り替えは古い野地板を撤去してから、新しく張り替える工法になります。
増し張りもしくは張り替えどちらを選択するかは、野地板の状態によります。

釘が浮いている場合

瓦を固定している釘の浮きを発見したら、打ち込みや交換、コーキングによる補修が必要です。
コーキングの補修は、釘を打ち込んでからコーキングを上から重ねて仕上げる工法です。
弾力性のあるコーキングで蓋をすることで、釘が浮くのを防ぎやすくなります。
注意点として打ち込みや交換、コーキングのみで対処できるのは、瓦屋根や下地に問題のない場合のみです。

瓦屋根の修理にかかる費用相場

屋根材の修理にかかる費用相場は、部分的または全体的に補修するかによって異なります。
各修理における費用相場について紹介していくので、ぜひ参考にしてください。

部分的に修理する場合

部分的に修理する場合の費用相場は、下記になります。

・瓦の交換:1万円~6万円
・コーキング修理:2千円~6万円
・漆喰部分の補修:10万円~40万円
・釘の打ち直し:10万円~70万円
・新しい棟瓦の設置:15万円~170万円

上記の費用以外に、足場代が別途で必要になります。
足場の設置と解体にかかる費用相場は、600円〜900円/平方メートルです。

全体的に修理する場合

全体的に修理する場合にかかる費用は、下記のとおりです。

・葺き直し工事:120万円~250万円
・葺き替え工事:60万円~350万円

また、立地条件や屋根の形状、使用する瓦などによって費用は変動します。

瓦屋根の劣化を修理しない場合に起こり得るトラブル

とくに住むのに問題がなければ、瓦屋根は修理しなくて良いと思われる方もいるかもしれません。
しかし、瓦屋根の劣化を放置すると、下記に挙げるトラブルをまねく可能性があります。

・雨漏りする
・害獣が棲みつく
・屋根が崩れ落ちる

各トラブルについて、くわしく解説します。

雨漏りする

瓦屋根の割れやズレを放置すると、雨漏りを起こすリスクが高いです。
瓦の割れやズレ部分から雨水が内部まで浸入し、防水シートや野地板を腐らせてしまいます。
雨漏りしてしまうと生活に多大なる支障をきたすだけではなく、建物自体の寿命も縮んでしまいます。
長く住み続けるためには瓦屋根の劣化を早期に補修し、雨漏りを予防することが重要です。

害獣が棲みつく

ハクビシンやネズミなどの害獣が棲みつくと、人体や建物に深刻な被害をまねきます。
瓦の破損やズレによってできた隙間は、害獣が侵入する直接的な原因となります。
ひとたび侵入を許してしまうと建物がフンや尿で汚れるだけではなく、健康被害を起こしかねません。
被害を防ぐには瓦の破損や隙間を早めにふさぎ、侵入できないようにするのが効果的です。

屋根が崩れ落ちる

瓦屋根の劣化を長年放置すると、いずれは屋根自体が崩れ落ちてしまいます。
雨漏りによって構造部分の強度が下がると、屋根を支え切れず崩れ落ちてしまいます。
また、崩れ落ちた屋根によって、周囲の建物や人に被害が及ぶリスクも高いです。
早めに対処すれば、屋根の補修にかかる費用や手間が少なくて済みます。

瓦屋根の劣化は放置せず早急に修理を依頼しよう

瓦屋根は20年目に点検、30年目以降は全体的な補修が必要になります。
ただし瓦の割れやズレなど劣化症状があれば、早急に修理を依頼するようにしましょう。
瓦屋根の修理方法や費用相場は、劣化している箇所や症状によって異なります。
劣化を放置すると建物自体の寿命にも影響するため、気づいたタイミングで業者に連絡するのをおすすめします。

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