ガルバリウム鋼板屋根は、金属製にもかかわらず錆びにくいのが特徴の屋根材です。
耐久性や耐震性が高いといったメリットから、多くの住宅で選ばれています。
一方でガルバリウム鋼板屋根を使用していて、どのようにメンテナンスすれば良いか迷われる方は多いです。
本記事ではガルバリウム鋼板屋根をメンテナンスする時期や補修方法、費用相場などについて解説します。
具体的に解説するのは、下記の内容です。
・ガルバリウム鋼板の補修時期
・ガルバリウム鋼板の劣化サイン
・メンテナンスの方法
・メンテナンスにかかる費用相場
・メンテナンスが必要な理由
ガルバリウム鋼板屋根は耐久性の高い屋根材ではあるものの、劣化症状がまったく起きないわけではありません。
メンテナンスを行うことで不具合の発生を予防でき、美しい屋根が長持ちします。
本記事を読めばガルバリウム鋼板屋根の劣化サインが理解でき、適切なメンテナンスを業者に依頼できます。
もくじ
ガルバリウム鋼板をメンテナンスするタイミング

ガルバリウム鋼板の耐用年数は、25~40年です。
ただし金属製の屋根材は、塩害による影響を受けやすい特徴があります。
海沿いの住宅では、25~40年より早期にメンテナンスが必要になる可能性もあります。
ガルバリウム鋼板屋根を長持ちさせるには、劣化症状に合わせたメンテナンスが重要です。
ガルバリウム鋼板をメンテナンスすべき劣化サイン

ガルバリウム鋼板をメンテナンスすべき劣化サインは、下記のとおりです。
・コケやカビが発生している
・色褪せが目立つ
・チョーキングが起きている
・サビが広がっている
・電蝕が発生している
それぞれの劣化症状について、くわしく解説します。
コケやカビが発生している
コケやカビは、塗料の膜が劣化することで発生しやすくなります。
雨で汚れが流れ落ちなくなると、コケやカビは繁殖しやすくなるためです。
特に、日陰に位置していて水はけの悪い屋根は注意が必要になります。
コケやカビは放置すると広がってしまうため、早めの対処が大切です。
色褪せが目立つ
色褪せが目立つと見た目に悪影響を及ぼすだけではなく、塗料本来の性能を発揮できなくなります。
屋根材を雨や紫外線などから保護する機能が低下しており、放置するとサビの原因になります。
もともとガルバリウム鋼板はサビに強い屋根材ではありますが、塗装による保護は必要です。
色褪せが目立つ状態になってきたら、早めのメンテナンスをおすすめします。
チョーキングが起きている
チョーキングとは、屋根材表面を触るとチョークのような粉がつく現象です。
粉は砂やチリといった汚れではなく、塗料の膜が劣化することで発生します。
チョーキングの多くは経年劣化が原因で、まれに施工不良で起こるケースもあります。
耐久性や防水性などが低下している可能性もあるため、チョーキングに気づいた時点で業者に相談してください。
サビが広がっている
屋根材にサビが目立つ場合、耐久性に影響を及ぼしている可能性もあります。
ガルバリウム鋼板は、傷がつきやすいデメリットのある屋根材です。
傷のついた箇所からサビが発生し、やがて広がってしまいます。
最初に白っぽい色をした白サビが発生し、進行すると赤サビになります。
赤サビを放置すると建物内部まで広がり、住宅全体の寿命を縮める原因になるため対処が必要です。
電蝕が発生している
電蝕(でんしょく)とは、異なる種類の金属が接触している部分に腐食を起こす現象です。
異なる金属でできたクギを使用したり、屋根に立てかけておいたりすると発生します。
電蝕は最初にサビを引き起こし、やがて屋根材の腐食をまねきます。
腐食はサビや穴あきといった劣化症状の原因となるため、メンテナンスが必要です。
ガルバリウム鋼板のメンテナンス方法

ガルバリウム鋼板をメンテナンスする方法は、下記のとおりです。
・水で洗浄
・部分補修
・塗装
・重ね葺き
・葺き替え
各メンテナンス方法について、くわしく解説します。
水で洗浄
サビの原因である汚れや塩分を落とすには、定期的に水で洗い流すのが効果的です。
ガルバリウム鋼板に高圧洗浄をかけると、強い水圧で凹んでしまう可能性があるため、ホースを用いて洗い流します。
また、屋根の洗浄は高所作業で危険をともなうため、業者に依頼する方が安心です。
部分補修
凹みや穴あきなどの症状が一部のみであれば、部分補修で対処します。
また、屋根周辺にある雨樋や棟板金(むねばんきん)などの不具合も、交換や補修で対応できます。
棟板金とは、屋根のもっとも高いところに設置する部材です。
部分補修で対処できれば、全体的に補修するより費用や工期を抑えることが可能です。
塗装
サビや色褪せなど、塗料の膜が劣化しているサインを発見したら、塗装によるメンテナンスをおすすめします。
塗装により屋根材を保護し、外観を美しく保つ効果が期待できます。
また、選ぶ塗料によって、防カビや省エネ効果などを高められるのもメリットです。
ガルバリウム鋼板は塗装する難易度の高い屋根材であり、業者選びが重要になります。
重ね葺き
重ね葺き(カバー工法)とは、古い屋根材の上から新しく重ね張りする工事です。
古い屋根材の解体や撤去作業が必要ないため、工事にかかる費用や期間を抑えられます。
一方で屋根を重ねると建物に負担がかかる点や、劣化した箇所はそのまま残るといったデメリットはあります。
劣化状態によっては、重ね葺きができない可能性もあることは知っておきましょう。
葺き替え
葺き替えは古い屋根材を撤去し、新しい屋根材に交換する工事です。
下地材も含めてメンテナンスできるため、激しい腐食や雨漏りがあっても対応できます。
ガルバリウム鋼板以外の屋根材も選べるので、外観を一新させたい場合にもおすすめです。
葺き替えはもっとも大掛かりなメンテナンスであり、相応の費用や工期がかかります。
ガルバリウム鋼板のメンテナンスにかかる費用相場

業者の見積もりを確認する際に、費用相場をあらかじめ知っておくと適正か判断しやすくなります。
今回ご紹介する費用相場は、下記のとおりです。
・洗浄
・部分補修
・塗装
・重ね葺き
・葺き替え
ガルバリウム鋼板のメンテナンスを考えている方は、ぜひ参考にしてください。
洗浄の場合
洗浄を自分で行う場合にかかる費用は、水道利用代のみです。
業者に依頼する費用に関しては、要問い合わせとなります。
部分補修の場合
部分補修にかかる費用相場は、下記のとおりです。
・穴や凹みの補修:5,000円~5万円
・棟板金の工事:5万円~25万円/一戸
・雨樋の補修工事:1万円~70万円
費用相場は補修範囲や立地条件などによっても異なるため、上記の価格は参考程度にしてください。
塗装の場合
屋根塗装における坪数別の費用相場は、下記になります。
・20坪:15万円~40万円
・30坪:20万円~60万円
・40坪:25万円~80万円
・50坪:30万円~100万円
・60坪:40万円~130万円
ガルバリウム鋼板は塗装難易度が高いため、依頼する業者によって費用は異なります。
重ね葺きの場合
重ね葺きにかかる費用相場は、60万円~240万円です。
建物の構造や広さなどによって、かかる費用は前後します。
葺き替えの場合
葺き替えにかかる費用相場は、70万円~250万円です。
葺き替えの場合、新しく設置する屋根材によってかかる費用が大きく異なります。
ほかにも立地条件や屋根の形状などによっても、費用は前後します。
ガルバリウム鋼板屋根をメンテナンスすべき理由

ガルバリウム鋼板は、定期的にメンテナンスする必要があります。
具体的な理由は、下記の3つです。
・屋根の強度が弱まる
・雨漏りしやすくなる
・外観がみすぼらしくなる
それぞれの理由を、くわしく解説します。
屋根の強度が弱まる
劣化によってサビが発生すると、屋根材の強度を弱めてしまいます。
ガルバリウム鋼板は錆びにくい素材ではありますが、まったく錆びないわけではありません。
サビが接合部やビスの周りに広がると、屋根材を固定する力は弱くなります。
結果として屋根材自体の強度が弱まり、住宅全体に悪影響を及ぼします。
サビは放置するとどんどん広がってしまうため、早めのメンテナンスが必要です。
雨漏りしやすくなる
屋根材が劣化することで、雨漏りを起こす可能性もあります。
劣化によって発生したサビを放置すると、やがて屋根材に穴があいてしまうためです。
屋根材にできた穴から雨水が浸入し、雨漏りしやすくなります。
雨漏りは住宅に重大なダメージを与えるだけではなく、生活にも支障をきたします。
外観がみすぼらしくなる
美しい外観を保つためにも、定期的なメンテナンスが必要です。
サビや色褪せなどが発生すると、外観のイメージは悪くなります。
定期的に補修や塗装などを行うことは、住宅の価値を維持するのに効果的です。
メンテナンス不要と説明してくる業者には注意

屋根材を選ぶときに、業者からガルバリウム鋼板はメンテナンスフリーと説明された方もいるかもしれません。
しかし本記事で説明した通り、ガルバリウム鋼板の耐用年数は25~40年です。
確かに長持ちしやすい屋根材ではありますが、メンテナンスは必要になります。
メンテナンス不要と説明されたら、知識不足または悪質業者の可能性を疑った方が良いでしょう。
ガルバリウム鋼板の屋根に劣化を見つけたら、早めにメンテナンスを依頼しよう

ガルバリウム鋼板は耐久性の高い屋根材ではありますが、劣化症状に合わせたメンテナンスは必要です。
劣化症状は外観に影響を及ぼすだけではなく、強度の低下や雨漏りを引き起こします。
ガルバリウム鋼板の屋根をメンテナンスするのにかかる費用は、作業内容や立地条件などによって異なります。
屋根にコケやサビ、チョーキングなどの劣化症状を見つけたら、早めにメンテナンスを依頼しましょう。