「ウレタン塗料で外壁塗装はしない方が良いと言われたけれど、理由を知りたい」
「そもそもウレタン塗料が、どのような塗料か分からない」
ウレタン塗料は安価かつ仕上がりの美しさから、幅広い場面で使用される塗料です。
しかし外壁塗装では使用するケースが少ないのはなぜか、疑問に思われることはありませんか。
本記事ではウレタン塗料の特徴やメリット・デメリット、外壁塗装におすすめではない理由について解説します。
具体的に解説するのは、以下の項目です。
・ウレタン塗料の特徴
・ウレタン塗料を使うメリットやデメリット
・ウレタン塗料で外壁塗装するのがおすすめではない理由
・ウレタン塗料で外壁塗装するのが向いているケース
ウレタン塗料は長持ちせず紫外線に弱いなどの理由により、外壁塗装には不向きな塗料です。
ただし一部の状況では使用するケースがあるため、業者と相談しながら選択するのをおすすめします。
本記事を読めばウレタン塗料の特徴を理解した上で、住宅に最適な塗料を選択できます。
もくじ
外壁塗装で使われるウレタン塗料とは?

ウレタン塗料とは、ウレタン系樹脂を主原料とする塗料です。
柔軟性が高く、塗装面は光沢感のある仕上がりになります。
安価かつ幅広い場所に使用できるため、車やバイク、家具などにも使用されています。
長い歴史を持つ塗料で取り扱っているメーカーが多く、色やバリエーションも豊富です。
近年ではより高性能な塗料が発売されていますが、外壁塗装ではほとんど使われなくなっています。
外壁塗装でウレタン塗料を使うメリット

外壁塗装でウレタン塗料を使用するメリットは、下記のとおりです。
・他の塗料より費用が安い
・ひび割れが起きにくい
・高級感のある外観に仕上げられる
・さまざまな塗料メーカーが発売している
それぞれのメリットを、くわしく解説します。
他の塗料より費用が安い
ウレタン塗料を使用した塗装は、低コストなのが魅力です。
費用相場は1,500円〜2,500円/平方メートルと、他の塗料より安価です。
参考として、外壁塗装で良く用いられる塗料の費用相場は下記になります。
・シリコン塗料:1,800円~3,500円/平方メートル
・フッ素塗料:3,000円~5,000円/平方メートル
・無機塗料:3,500円~6,000円/平方メートル
注意点として上記の費用相場に、下塗りにかかる費用は含まれていません。
下塗りにかかる費用相場は、600円〜1,000円/平方メートルです。
なるべく塗料にかかる費用を抑えたい場合は、ウレタン塗料が適しています。
ひび割れが起きにくい
経年劣化や振動などによるひび割れが起きにくいのも、ウレタン塗料のメリットです。
弾力が高く塗装面の動きに追従し、ひび割れを起こしにくくなるためです。
また、乾燥後はやわらかく密着度の高い仕上がりとなり、下地材がひび割れても塗装面まで及ばずに済みます。
ウレタン塗料には、ひび割れから水が浸入するのを防ぐ効果もあります。
高級感のある外観に仕上げられる
塗装にかかる費用を抑えつつ、高級感のある雰囲気にしやすいのも特徴です。
塗装表面は光沢感やツヤのある仕上がりになり、高級感を出しやすくなります。
また、ウレタン塗料にツヤ消し剤を混合すれば、マットな外観にすることも可能です。
実際にウレタン塗料は、高級家具の仕上げにも使われています。
さまざまな塗料メーカーが発売している
ウレタン塗料は塗料としての歴史が長く、種類やバリエーションも豊富です。
日本ペイントやエスケー化研をはじめとした、有名塗料メーカーで取り扱いがあります。
ウレタン塗料は色や性能、仕上がりなどの幅も広く、希望する仕上がりを実現しやすいのも特徴です。
ホームセンターや通販などでも比較的入手しやすいため、DIYに使用されるケースが増えています。
外壁塗装でウレタン塗料を使うデメリット

一方で、ウレタン塗料を使用するデメリットは下記のとおりです。
・長持ちしにくい
・次回の塗装までのスパンが短い
・紫外線に弱い
・汚れが付着しやすい
デメリットを知った上で塗料を選ぶと失敗しづらいため、ぜひ参考にしてください。
長持ちしにくい
ウレタン塗料は耐久性が低いため、塗装の効果は長持ちしません。
一般的なウレタン塗料の耐用年数は、5〜10年です。
一方で、外壁塗装で良く用いられる塗料の耐用年数は、下記になります。
・シリコン塗料:7〜15年
・フッ素塗料:12〜20年
・無機塗料:18〜20年
ただし場合によっては、上記の耐用年数より長持ちしない可能性があります。
立地や業者の技術力などによっても、耐用年数は変化するためです。
ウレタン塗料で外壁塗装すると、他の塗料より仕上がりを維持できる期間が短くなります。
次回の塗装までのスパンが短い
長持ちしないため、塗装間のスパンが短いのもデメリットです。
外壁塗装で良く用いられるシリコン塗料を使用した場合、次回の塗装は最長で約15年後になります。
しかし、外壁塗装にウレタン塗料を使用した場合は、最長で約10年です。
シリコン塗料であれば30年間で2回塗装すれば良いですが、ウレタン塗料なら3回に増えてしまいます。
長く住み続ける住宅に外壁塗装する場合、メンテナンスのスパンや費用を考慮した塗料選びが大切です。
紫外線によるダメージを受けやすい
シリコン塗料やフッ素塗料などと比べ、紫外線によるダメージを受けやすくなります。
紫外線に弱く、早い段階で塗料が劣化し色あせてしまうためです。
また、ウレタン塗料を使うと黄色く変色しやすいため、美観を損ないやすくなります。
外壁は紫外線による影響を受けやすい箇所であり、ウレタン塗料は不向きです。
汚れが付着しやすい
塗装面が汚れやすくなるのも、ウレタン塗料のデメリットです。
乾燥しても柔らかい仕上がりになる特性上、汚れも付着しやすくなります。
もともと外壁は、外的環境による汚れが付着しやすい箇所です。
とくに車通りの激しい道路に面していたり、工場が近かったりといった住宅は要注意です。
近年では、汚れが付着しにくいウレタン塗料も発売されています。
ウレタン塗料で外壁塗装するのはおすすめではない

結論として外壁塗装の際に、ウレタン塗料を選択するのはおすすめできません。
耐久性が低く外的環境から影響を受けやすい性質上、外壁塗装には不向きであるためです。
使用頻度が低いため、そもそもウレタン塗料自体を取り扱っていない塗装業者もあります。
ウレタン塗料は安価なイメージですが、近年では需要の低さから費用自体も少し上がっています。
費用を理由にウレタン塗料を選択しても、思ったより安くなかったという場合もあり得るでしょう。
基本的に外壁は、シリコン塗料やフッ素塗料、無機塗料などで塗装するのがおすすめです。
ウレタン塗料で塗装するのが向いているケース

例外として、ウレタン塗料で塗装するのが向いているケースは下記になります。
・付帯部を塗装する場合
・数年以内に住宅を建て替える場合
ウレタン塗料の使用を考えている場合は、ぜひ参考にしてください。
付帯部を塗装する場合
できるだけ費用を抑えたい場合、付帯部のみウレタン塗料を使用する場合があります。
付帯部とは雨樋(あまどい)や水切りなど、屋根や外壁以外の細かな箇所です。
とくに木製の付帯部は、ひび割れしにくいウレタン塗料と相性が良いです。
付帯部にウレタン塗料を使用するかは、業者と相談して決めるのをおすすめします。
数年以内に住宅を建て替える場合
建て替えが決まっている住宅の外壁塗装であれば、ウレタン塗料を選択するメリットは大きいです。
外壁塗装は必要であるものの、今の住宅に住むのはあと数年といった例が該当します。
劣化する前に建て替え時期となるため、長持ちしないウレタン塗料を使用しても問題になりにくいです。
塗装を数年維持できれば良い場合は、安価なウレタン塗料を使用する方法もあります。
外壁塗装でウレタン塗料を使いたい場合は、メリットとデメリットを把握した上で判断しよう

ウレタン塗料は安価で高級感のある仕上がりになるため、幅広い塗装に使用されている塗料です。
しかし現在では、外壁塗装においてウレタン塗料はほとんど使用されていません。
他の塗料と比較して紫外線に弱く長持ちせず、最終的に、メンテナンスの費用や時間がかかりやすいためです。
ただし一部例外もあるため、ウレタン塗料を使用したい場合は業者と相談して判断するのをおすすめします。