「クリア塗装は、家のデザインを損ねないって本当?」
「自分の家はクリア塗装ができるか知りたい!」
外壁のデザイン性を残しつつ塗装したい場合によく用いられる、クリア塗装という塗装方法があります。
クリア塗装は気になるけれど、実際どのような施工を行うのか不安に思われることはありませんか。
本記事ではクリア塗装の方法やメリット・デメリット、施工をおすすめしないケースについて解説します。
具体的に解説するのは、下記の項目です。
・クリア塗装の特徴
・クリア塗装のメリットやデメリット
・クリア塗装向きの外壁材
・クリア塗装に向かない外壁材
・クリア塗装しない方が良いケース
クリア塗装は費用を抑えつつデザイン性を残せる一方で、補修や耐久性には劣ります。
本記事を読めばクリア塗装のメリット・デメリットが理解でき、お住まいに合わせた塗装方法を選択できます。
もくじ
外壁塗装におけるクリア塗装とは?
クリア塗装とは、外壁が透けて見える無色透明の塗料で塗装する方法です。
使用する無色透明の塗料は、ほかの製品と違い顔料を含まない点が特徴になります。
顔料入りの塗料で塗装すると、外壁の柄や色合いを完全に再現するのは困難とされています。
クリア塗装なら外壁本来のデザイン性を残しつつ、塗膜による保護や艶出しなどが可能です。
最近はデザイン性の高い住宅が増えているため、クリア塗装を選択する方も増えています。
外壁をクリア塗装するメリット
外壁をクリア塗装するメリットは、デザイン性や費用面などにあります。
具体的なメリットは、次の4点です。
・お気に入りのデザインを維持できる
・光沢感を出せる
・費用が安くなる可能性がある
・チョーキングが発生しない
上記4点について、順に解説します。
お気に入りのデザインを維持できる
外壁の柄やデザインを維持できるのは、クリア塗装ならではのメリットです。
顔料が含まれている塗料で塗装してしまうと、外壁の柄やデザインを維持するのは困難なためです。
クリア塗装ならタイル風やレンガ風などの柄や繊細なデザインを残しつつ、塗装によるメンテナンスを実現できます。
住宅の雰囲気をそのまま残したい希望がある場合、クリア塗装を検討してみてください。
光沢感を出せる
無色透明の塗料を使用するため、光沢感を出しやすい利点もあります。
クリア塗装は艶っぽい仕上がりになるので、色や柄がより際立ちます。
艶は好みのレベルを選べるため、お住まいの雰囲気に合わせた光沢感も出しやすいです。
クリア塗装には、お気に入りの色や柄をより美しく見せる効果もあります。
費用が安くなる可能性がある
塗装回数が少なく済み、かかる費用を抑えやすい点もメリットです。
ほとんどのクリア塗料は、下塗りの工程が不要であるためです。
通常の塗装は下塗り、中塗り、上塗りと3回塗装するため、その分の人件費や塗料代がかかります。
なるべく安く外壁のデザインを活かした塗装をしたい方にも、クリア塗装はおすすめです。
チョーキングが発生しない
クリア塗装に使用するクリア塗料の性質上、劣化してもチョーキングを起こさない特徴もあります。
チョーキングとは塗料の劣化により、顔料がチョークのような粉状になって表面に現れる現象のことです。
クリア塗料は顔料が含まれておらず、チョーキングは発生しません。
今後耐用年数が近づいても、クリア塗装ならチョーキングによる外観の劣化は目立ちにくいです。
外壁をクリア塗装するデメリット
外壁をクリア塗装するメリットがある一方で、デメリットも存在します。
具体的なデメリットは下記のとおりです。
・劣化症状や補修箇所が目立つ
・次回の塗装までのスパンが短い
デメリットも知った上で塗装方法を選択すると後悔せずに済みます。
1つずつ見ていきましょう。
劣化症状や補修箇所が目立つ
透明であるがゆえに、劣化症状や補修箇所が目立ちやすい点はデメリットです。
色で隠せないため、ひび割れや色あせなどの劣化や補修箇所がそのまま見えてしまいます。
また、外壁の状態によっては、クリア塗装でかえって見栄えが悪くなることも少なくありません。
クリア塗装のメリットを活かすためには、外壁の状態が非常に重要です。
次回の塗装までのスパンが短い
クリア塗料は劣化症状が出る前の塗装を前提としており、メンテナンスのスパンは短めになります。
色で隠せる塗料と違い、外壁の状態が仕上がりにそのまま反映されるためです。
外壁にひび割れや色褪せなど目立つ劣化症状がある場合は、クリア塗装に不向きです。
クリア塗装で美しい外観を維持するには、こまめなメンテナンスを行わなくてはなりません。
クリア塗装が向いている外壁材
クリア塗装は、外壁材との相性も大切になります。
クリア塗装に向いている外壁材は、下記のとおりです。
・窯業系サイディング
・モルタル
・コンクリート
それぞれの外壁材となぜ相性が良いのか、くわしく解説します。
窯業系サイディング
窯業系(ようぎょうけい)サイディングにクリア塗装を施すと、デザイン性の高さを活かした仕上がりになります。
窯業系サイディングとはセメントと繊維を薄い板状にした外壁材で、機能性とデザイン性の高さが特徴です。
最近ではレンガ調や木目調など、デザイン性のある窯業系サイディングを用いた住宅が増えています。
クリア塗装なら、窯業系サイディングの美しい外観を維持できます。
モルタル
クリア塗装は、色やデザインが豊富なモルタルとの相性も良いです。
モルタルとは砂とセメント、水を混ぜ合わせて作られる、色やデザインが豊富な外壁材です。
最近ではモルタルに適したクリア塗料も発売されており、選択されるケースが増えています。
モルタルの素材感やデザイン性をいかしたい場合は、クリア塗装を検討してみてください。
コンクリート
クリア塗装はコンクリートの弱点を補う効果もあるため、相性は抜群です。
打ちっぱなしのコンクリートは、防水性の低さや汚れやすいといった欠点があります。
クリア塗装を使用すれば防水性を高め汚れも付きにくくなり、美観を保ちやすくなります。
撥水材の上からクリア塗装をする方法もあるため、業者と相談しながら選択すると良いでしょう。
クリア塗装が向いていない外壁材
クリア塗装には向いていない外壁材も存在します。
下記の外壁材には、クリア塗装は向いていません。
・コーティングされたサイディング
・金属系サイディング
上記の外壁に誤ってクリア塗装をしてしまうと、塗料が密着しない不具合を起こします。
なぜ上記の外壁はクリア塗装が密着しないのか、くわしく解説します。
コーティングされたサイディング
クリア塗装はサイディングに多く用いられていますが、コーティングされている場合は例外です。
フッ素や光触媒塗料でコーティングされていると、塗料が密着しにくくなります。
塗料の膜が剥がれてしまうと見た目も悪くなるだけではなく、塗料本来の性能を発揮できません。
コーティングされていても施工可能なケースはあるため、あらかじめ業者に確認するのをおすすめします。
金属系サイディング
金属系サイディングは、クリア塗装をはじいてしまうため不向きといえます。
コーティングと同様に金属も表面がツルツルしており、塗料が密着しにくくなるためです。
また、顔料入りの錆止め塗装を必要とするケースが多いことも、クリア塗装に適さない理由のひとつです。
お住まいに金属系サイディングを使用している場合、他の塗装方法を選択しましょう。
外壁塗装でクリア塗料を使わない方が良いケース
外壁の状態によっても、クリア塗料を使わない方が良いケースは存在します。
下記の状態に該当する場合、クリア塗料は使用しないほうが良いでしょう。
・ひび割れが発生している場合
・外壁を触ると白い粉が付く場合
それぞれのケースを、くわしく解説します。
ひび割れが発生している場合
クリア塗料にひび割れや補修箇所を隠す効果はないため、外壁の状態によっては使用しないことをおすすめします。
外壁自体の状態が透けてしまい、ひび割れや補修箇所が目立ってしまうためです。
色付きの塗料であれば、ある程度のひび割れや補修箇所を目立たなくできます。
外壁にひび割れがある場合、クリア塗料を使えるか業者に判断してもらうと良いでしょう。
外壁を触ると白い粉が付く場合
外壁を触ると白い粉が付く場合は、クリア塗料を使用するのは難しいといえます。
仕上がりが白くボケた感じになってしまい、外観を損ねてしまうためです。
外壁を触ると白い粉が付く現象はチョーキングといい、劣化症状の1つです。
すでに劣化症状が起きている外壁には、クリア塗料の使用はおすすめできません。
外壁をクリア塗装したい場合はメリットとデメリットを把握した上で判断しよう
クリア塗装は、外壁のデザイン性を活かしたい方に人気の塗装方法です。
価格を抑えつつ、光沢感によりデザインや柄を引き立たせる効果が期待できます。
ただし外壁の色や風合いを活かす方法ゆえに、劣化する前の塗装が前提です。
劣化や補修箇所が隠せず、メンテナンスのスパンが短いといったデメリットも存在します。
クリア塗装を希望する場合は、メリットとデメリットを把握した上で、業者に相談しつつ判断するのをおすすめします。