カラーベストは高いデザイン性とお手頃な価格から、多くの住宅で使用されている屋根材です。
ご自宅の屋根にカラーベストを使用しているけれど、いつまで持つのかや、なるべく長持ちさせる方法を知りたいと思われることはありませんか。
本記事ではカラーベストの寿命や補修が必要な劣化サイン、修理費用などについて解説します。
具体的に解説するのは、下記の内容です。
・カラーベストの寿命
・寿命前でも補修が必要な劣化症状
・寿命までに行いたいメンテナンス
・寿命が来たら行うべき修理
・修理にかかる費用相場
・できるだけ長持ちさせるコツ
カラーベストは、販売時期やメンテナンス状況などによって寿命が異なります。
できるだけ長持ちさせるには、色褪せやコケ、雨漏りなどを早めに補修・修理するのが効果的です。
本記事を読めばカラーベストの寿命や劣化症状を理解でき、適切なメンテナンスを行えます。
もくじ
カラーベストの寿命

カラーベストの寿命は、20~40年とされています。
寿命の幅が広いのは、発売された時期によって変動するためです。
ほかにもメンテナンス頻度や立地条件などによっても、寿命は変動します。
カラーベストの寿命前でも補修が必要な劣化症状

カラーベストの寿命前でも、下記の劣化症状があれば補修を行ってください。
・色褪せが目立つ
・コケやカビが繁殖している
・ひび割れや欠けている箇所がある
・反っている箇所がある
・釘の抜けや浮きがある
・雨漏りが発生している
それぞれの劣化症状について、くわしく解説します。
色褪せが目立つ
カラーベストは劣化すると、色褪せが目立ってきます。
屋根材の上に施された塗装が、雨水や紫外線などによって劣化するためです。
塗料の膜が劣化すると防水性も低くなり、雨漏りする原因になります。
色褪せは屋根材を劣化させ外観も悪くするため、塗装によるメンテナンスが必要です。
コケやカビが繁殖している
コケやカビは外観を悪くさせるだけではなく、カラーベスト自体の耐久性も低下させます。
経年劣化によって防水性の低下したカラーベストは、コケやカビなどが繁殖しやすくなります。
また、屋根材が常に水気の多い環境にさらされると、もろくなってしまうのも問題点です。
コケやカビは汚れていたり防水性が低下していたりすると繁殖しやすくなるため、高圧洗浄や再塗装で対処します。
ひび割れや欠けている箇所がある
カラーベストにひび割れや欠けを発見した場合も、メンテナンスが必要です。
ひび割れや欠けている箇所から雨水が浸入すると、雨漏りの原因になります。
雨漏りすると生活に支障をきたすだけではなく、住宅全体を劣化させるリスクがあります。
ひび割れや欠けを放置すると悪化する可能性があるため、早めに補修を行いましょう。
反っている箇所がある
カラーベストは反ってしまうと不具合を起こしやすくなるため、対処が必要です。
塗料の膜が薄くなったカラーベストは水分を含みやすくなり、雨や凍結などにより膨張します。
膨張したカラーベストが日光に当たると、急激に乾燥し収縮します。
上記のような膨張と収縮を繰り返すことが、反ってしまう原因です。
反ってしまったカラーベストは割れや欠け、雨漏りなどを起こしやすくなります。
一度反ったカラーベストは元に戻らないため、早めの補修が必要です。
釘が抜けている・浮いている
固定している釘の抜けや浮きを発見したら、抜け落ちる前に対処を行ってください。
カラーベストの頂上部分には、棟板金(むねばんきん)という屋根を固定する部材が設置されています。
棟板金は気温の変動で膨張と収縮を繰り返すため、固定している釘がだんだん浮いたり抜けたりしてしまいます。
固定が甘くなってしまうと、下地部分の腐食や雨漏りを起こすリスクも高いです。
また、釘の抜けや浮きを放置すると、強風で棟板金自体が飛んでしまう可能性もあります。
屋根の釘が浮いたり抜けたりした場合は、打ち直しや交換などで対処します。
雨漏りが発生している
雨漏りしているのを発見したら、早急に補修が必要です。
放置すると屋根本体だけではなく、建物の構造部分にも深刻なダメージを与えます。
住宅自体の耐久性が低下してしまうと、住み続けるのに支障をきたします。
雨漏りを長期間放置すると修理費用が高額になってしまうため、早めに業者へ連絡してください。
カラーベストの寿命までに行いたいメンテナンス

カラーベストの寿命が訪れる前に、下記に挙げるメンテナンスをおすすめします。
・屋根塗装
・棟板金の交換
・部分補修
それぞれのメンテナンス方法について、くわしく解説します。
屋根塗装
定期的な屋根塗装を行うことは、防水性や保護効果の維持に効果的です。
ただし、コロニアルNEOといったノンアスベスト屋根の場合は、塗装しないことをおすすめします。
ノンアスベスト屋根は非常に脆く、塗装過程でひびが入ったり割れたりしやすいためです。
また、グラッサシリーズは耐候性の高い無機塗料を使用しているため、塗装によるメンテナンスは不要です。
耐候性とは紫外線や雨など、自然環境に対する耐性を指します。
カラーベストの種類によっては、塗装によるメンテナンスが有効です。
棟板金の交換
棟板金の劣化や剥がれは、屋根によく発生する不具合です。
棟板金を固定する下地が腐食すると、不具合を起こしやすくなります。
もともと棟板金は外部環境の影響で劣化しやすく、定期的な交換が必要です。
部分補修
カラーベストが部分的に欠けたり割れたりした場合は、差し替えまたは差し込みを行います。
差し替えとは、破損したカラーベストを部分的に交換する方法です。
一方で差し込みは、ガルバリウム鋼板をカラーベストの上に設置し、接着剤で固定する修理方法です。
どちらの方法も部分的な補修になるため、別の箇所に不具合を起こすリスクはあります。
劣化症状や範囲によっては、部分補修では対処できない場合もあります。
カラーベストの寿命が来たら行うべき修理

寿命が来たカラーベストを修理する方法は、下記のとおりです。
・重ね葺き工事(カバー工法)
・葺き替え工事
それぞれの修理方法について、くわしく解説します。
重ね葺き工事(カバー工法)
重ね葺き工事(カバー工法)とは現在のカラーベストを残し、上から新しい屋根材を被せる工法です。
古い屋根材を撤去せずに済むため、費用や工期を抑えられるのがメリットです。
一方で屋根を重ねることで住宅への負担が大きくなりやすく、耐震性に影響するリスクもあります。
また、重ね葺き工事で修理できるのは、下地材の耐久性が保たれている場合に限ります。
葺き替え工事
葺き替え工事は、古いカラーベストを撤去し、新しく屋根材を張り替える工法です。
下地材も含めて修理・交換できるため、激しい劣化や雨漏りがあっても対処できます。
また、ほかの屋根材も選択できるため、外観を一新しやすいのもメリットです。
注意点としてアスベストを含むカラーベストの場合、高額な撤去・処分費用がかかります。
葺き替え工事は重ね葺き工事(カバー工法)より、費用や工期がかかりやすい点は知っておいてください。
カラーベストの修理にかかる費用相場

カラーベストの修理にかかる費用は、工事内容によって異なります。
今回ご紹介する工事内容は、下記のとおりです。
・屋根塗装
・棟板金の交換
・部分補修
・屋根材全体の工事
工事ごとの費用相場を、くわしくご紹介します。
屋根塗装
屋根塗装における、坪数別の費用相場は下記になります。
・20坪:15万円~40万円
・30坪:20万円~60万円
・40坪:25万円~80万円
・50坪:30万円~100万円
・60坪:40万円~130万円
カラーベストに塗装する場合、縁切り作業にかかる費用が追加で必要です。
縁切りとは、塗装によって塞がってしまった屋根の隙間を作る作業です。
水の通り道を確保することで、下地の負傷や雨漏りを防ぐ効果があります。
棟板金の交換
棟板金の交換にかかる費用は、15万円〜45万円が相場です。
使用する棟板金や下地材によって、かかる費用は異なります。
部分補修
部分補修の費用相場は、5,000円〜5万円です。
補修内容や範囲によって費用が変わってくるため、くわしくは業者に確認してください。
屋根材全体の工事
屋根材全体の工事は、重ね葺きもしくは葺き替えを行います。
具体的な費用相場は、下記のとおりです。
・重ね葺き工事:60万円~150万円
・葺き替え工事:70万円~200万円
屋根材全体の工事は、劣化具合や使用する屋根材などによって費用が異なります。
どちらの工事を選択するかは、業者と相談して決めると良いでしょう。
カラーベストをできるだけ長持ちさせるコツ

カラーベストをなるべく長持ちさせるには、以下の工夫をおすすめします。
・コケやカビを早めに除去する
・再塗装する
・定期的に点検する
それぞれの方法について、くわしく解説します。
コケやカビを早めに除去する
カラーベストを長持ちさせるためには、コケやカビを早めに高圧洗浄で除去するのが効果的です。
カビやコケが付着したままだと水分が溜まり、湿気によって劣化しやすくなります。
屋根に付着した汚れもカビやコケの原因になるため、定期的に洗浄すると良いでしょう。
コケの生えている屋根は滑りやすく危険を伴うため、除去作業は必ず業者に依頼してください。
再塗装する
再塗装もカラーベストを長持ちさせるのに効果的です。
塗料の膜が剥がれると防水機能を維持できなくなり、劣化する原因になるためです。
注意点として、使用しているカラーベストによっては塗装しない方が良い商品も存在します。
また、再塗装による効果は使用する塗料によっても異なるため、予算や期待する性能などを考慮して選ぶと良いでしょう。
定期的に点検する
劣化が進行する前に修理するためには、定期的な点検が効果的です。
カラーベストに限らず屋根は、劣化しているかが見た目だけでは判断できません。
業者に点検してもらい、劣化症状の有無を判断してもらうのが効果的です。
劣化症状を早めに発見し対処することで、カラーベストがより長持ちしやすくなります。
カラーベストは寿命前でも劣化が見られる場合はメンテナンスしよう

カラーベストの寿命は、20~40年というのが一般的です。
ひび割れや色褪せなどの劣化症状によっては、寿命前にメンテナンスが必要な場合もあります。
カラーベストのメンテナンスにかかる費用は、工事内容によって異なります。
より長持ちさせるには定期的な点検で劣化症状を早期に発見し、適切なメンテナンスを行うことが大切です。