アスファルトシングルはコンクリートにガラス繊維を混ぜて、表面に石粒をコーティングした屋根材です。
日本でも使用されるケースが増えているため、長持ちさせる方法を知りたいという方も多いでしょう。
本記事ではアスファルトシングルの劣化サインや修理方法、費用相場などについて解説します。
具体的に解説するのは、下記のとおりです。
・アスファルトシングルの劣化症状
・アスファルトシングルの耐用年数
・劣化を放置すると起こり得るトラブル
・劣化を修理する方法
・修理にかかる費用相場
アスファルトシングルの劣化症状には、色褪せや剥がれなどが挙げられます。
劣化を放置すると雨漏りや耐久性の低下などを引き起こすため、早めに修理すると良いでしょう。
本記事を読めばアスファルトシングルの注意すべき劣化症状が理解でき、適切なタイミングで業者に修理を依頼できます。
もくじ
アスファルトシングルの注意すべき劣化症状

アスファルトシングルの注意すべき劣化症状は、下記になります。
・色褪せが目立つ
・コケやカビが発生している
・剥がれている
・下地が露出している
・屋根材の一部が落下している
各症状について解説しますので、メンテナンスの参考になれば幸いです。
色褪せが目立つ
屋根の色褪せは、塗装が劣化しているサインです。
塗料の膜による防水機能が低下しており、放置すると屋根材自体を傷めてしまいます。
色褪せは経年劣化により起こるケースが多いため、定期的に点検を行いましょう。
コケやカビが発生している
塗装の劣化により防水性が低下することで、コケやカビも発生しやすくなります。
アスファルトシングルは表面にコーティングされている石粒の影響で、コケやカビが発生しやすい屋根材です。
コケが広がった屋根材は、常に水分を含むことになるため脆くなってしまいます。
放置するとどんどん広がり外観や人体にも悪影響を及ぼすため、早めの対処が必要です。
剥がれている
雨風や紫外線などによって塗料の膜が劣化すると、やがて浮いたり剥がれたりします。
塗装の剥がれは経年劣化が原因として多いものの、施工不良によるケースもあります。
もともと屋根は、外部環境の影響をもっとも受けやすい箇所です。
剥がれた箇所は防水性が低くなっているため、放置するとコケや雨漏りなどの原因にもなります。
下地が露出している
屋根材の剥がれにより下地が露出してしまうのも、注意すべきサインです。
下地の露出は表面にある石が経年劣化で層となり、剥離してしまうことで起こります。
また、落下した石粒が雨樋(あまどい)に詰まって排水に支障をきたすと、さらに劣化のスピードは早くなります。
下地が雨や紫外線に直接当たると劣化してしまうため、発見したらすぐ業者に相談してください。
屋根材の一部が落下している
アスファルトシングルは、風の影響で落下しやすい特徴もあります。
柔らかい素材であることと、固定に接着剤を使用していることが原因です。
経年劣化で接着剤の粘着力が弱まった状態で強風にさらされると、浮き上がって落下してしまいます。
台風による被害を防ぐためにも、定期的なメンテナンスをおすすめします。
アスファルトシングルの耐用年数

アスファルトシングルの耐用年数は、15~30年です。
同じアスファルトシングルでも、製造および販売された時期によって耐用年数は異なります。
また、耐用年数は屋根の構造や立地条件などによっても前後するため、上記でご紹介した年数はあくまで目安です。
住宅のアスファルトシングルに劣化症状がみられる場合は、耐用年数にかかわらず早めにメンテナンスしてください。
アスファルトシングルの劣化を放置すると起こり得るトラブル

アスファルトシングルが劣化した状態を放置すると、下記のようなトラブルを引き起こします。
・外観の美しさが損なわれる
・雨漏りが発生する
・建物全体の耐久性が低くなる
上記に挙げたトラブルについて、くわしく解説します。
外観の美しさが損なわれる
コケや色褪せといった劣化症状を放置することは、アスファルトシングルの美しいデザインを損ねる原因です。
劣化症状が自然に改善することはなく、放置するとどんどん悪化してしまいます。
住宅の美観を維持するためにも、定期的なメンテナンスは必要です。
雨漏りが発生する
屋根材の劣化を放置すると、やがて雨漏りが発生します。
アスファルトシングルは防水性の高い屋根材ですが、劣化によって雨漏りを起こすことはあり得ます。
雨漏りはカビやコケ、シロアリなどを発生させ、住宅全体に重大なダメージを与えるリスクが高いです。
また、雨漏り修理は大掛かりな工事になるため、金銭的な負担も大きくなります。
劣化症状を早期にメンテナンスすることが、雨漏りの予防に効果的です。
建物全体の耐久性が低くなる
雨漏りによって構造部分まで雨水が浸入すると、建物全体の耐久性にも影響を及ぼします。
骨組み部分にサビや腐食が発生すると、建物の傾きや倒壊を引き起こすこともあるためです。
住宅に安心して住み続けるためには、早めのメンテナンスが重要になります。
アスファルトシングルの劣化を修理する方法

アスファルトシングルの劣化を修理する方法は、下記が一般的です。
・塗装工事
・剥がれの補修工事
・棟板金の交換工事
・重ね葺き工事(カバー工法)
・葺き替え工事
それぞれの修理方法や注意点などについて、くわしく解説します。
塗装工事
塗装工事によって、アスファルトシングルの表面を保護する効果が期待できます。
注意点として、塗装時に油性塗料を使うとアスファルト成分を溶かしてしまうため、必ず水性塗料を使用してください。
また、アスファルトシングルは構造上塗料の吸い込みが激しいため、ムラを防ぐためにツヤなし塗料を選択することも大切です。
アスファルトシングルは耐用年数の短い屋根材であり、タイミングによっては塗装しても補修効果を得にくい場合もあります。
剥がれの補修工事
剥がれが部分的であれば、接着剤で貼り合わせることで補修可能です。
部分的な補修工事なら、かかる時間や手間も少なくなり費用も抑えられます。
剥がれやズレなどを見つけたら、早めに工事を依頼するのがおすすめです。
棟板金の交換工事
棟板金(むねばんきん)とは、屋根の頂上部分に設置する部材を指します。
棟板金本体や固定しているクギが浮いたり劣化したりすると、雨漏りといった不具合の原因になります。
強風で飛ばされやすい箇所であり、定期的な交換によるメンテナンスが必要です。
重ね葺き工事(カバー工法)
重ね葺き工事(カバー工法)とは、既存の屋根に新しい屋根材を重ねる工法です。
解体や撤去にかかる手間や人手がかからず、工事費用や期間を抑えられます。
既存の屋根をそのまま残すため、施工できるのは下地に問題がないケースに限ります。
葺き替え工事
葺き替え工事は既存の屋根を撤去した後、新しい屋根材に交換する工法です。
雨漏りや経年劣化が激しくても工事でき、下地部分の補修もできます。
新しい屋根材は、同じアスファルトシングルだけではなく、他の種類を選ぶことも可能です。
耐久性を高めるのには効果的ですが、大掛かりな工事のため費用も高くなります。
アスファルトシングルを修理する場合の費用相場

アスファルトシングルを修理するのにかかる費用は、工事内容によって異なります。
本項目でご紹介するのは、以下の工事にかかる費用相場です。
・塗装工事
・屋根材の部分補修
・屋根材全体の工事
見積もりが適正か判断する際の、参考になれば幸いです。
塗装工事の場合
屋根の塗装工事にかかる費用相場は、下記になります。
・20坪:15万円~40万円
・30坪:20万円~60万円
・40坪:25万円~80万円
・50坪:30万円~100万円
・60坪:40万円~130万円
屋根の構造や使用する塗料によっても、かかる費用は前後します。
屋根材を部分的に補修する場合
屋根材を部分的に補修する場合にかかる費用相場は、下記のとおりです。
・剥がれの補修:1万円~5万円
・棟板金(むねばんきん)の交換:5万円~25万円
補修する範囲や追加作業などによって費用は異なってくるため、上記の相場は参考程度にとどめるのをおすすめします。
屋根材全体を工事する場合
下記が、屋根材全体の工事にかかる費用相場です。
・重ね葺き工事(カバー工法):80万円~150万円
・葺き替え工事:120万円~200万円
葺き替え工事の場合、新しく張り替える屋根材によって費用は大きく変動します。
くわしい費用については、業者に見積もりを取って確認してみてください。
アスファルトシングルの劣化は放置せず、早めにメンテナンスしよう

アスファルトシングルは比較的耐用年数の短い屋根材であり、美しい外観や耐久性を維持するにはメンテナンスが必要です。
具体的な劣化症状は、コケやカビ、剥がれなどが挙げられます。
劣化症状を放置すると雨漏りや耐久性の低下といった、重大なトラブルを引き起こす可能性があります。
劣化症状を発見したら業者に連絡し、屋根材の状態に適したメンテナンスを行ってもらいましょう。